拡大する中国共産党の影響力に対抗することを目的とした「米国イノベーション・競争法案(USICA)」は6月に上院で超党派で可決したが、下院で停滞している。議員たちは同法案成立に向けて、一部を国防権限法(NDAA)組み入れるなどして代替案を模索している。
この法案は、米国の技術や研究の強化に約1900億ドルを、米国内の半導体生産の強化に約520億ドルを提供するものだ。さらに、米国に友好的な外国の半導体メーカーを支援する措置も含まれている。
中国共産党は同法案に強く反発している。関係者がロイターに語ったところによると、中国は米国の経営者や企業、ビジネス関係組織に対して、USICAや他の類似法案に反対するよう圧力をかけているという。
米民主党のチャック・シューマー上院院内総務が5月18日に提案したUSICAは、6月に賛成68、反対32で、上院で可決された。
しかし、年末が近づいても2022年までにUSICAが承認される見通しが立っていない。このため議員たちは、年内に成立する国防権限法(NDAA)などの他の法案に同法の条項の一部を導入しようとしている。
米国イノベーション・競争法案の条項をNDAAに盛り込む可能性について、シューマー氏は下院でUSICA交渉とNDAAを並行することで年内可決に結びつけることができると述べた。
半導体確保は国防問題
専門家によると、半導体の生産能力は国防上の問題だ。英文大紀元(エポック・タイムズ)の寄稿者であるアントニオ・グレースフォ氏は、半導体は、軍事用・防衛機器、通信、ミサイル誘導システム、ナビゲーションシステム、さらには兵器シミュレーター、測距装置、近接信管などに必要な部品であると述べた。また、半導体は、商業的な技術装置を構築するのに不可欠であるため、各国の経済において重要な役割を果たしているという。
例えば、欧州アジア研究所によると、台湾は世界の半導体の約63%を生産している。半導体市場調査会社ICインサイツによれば、半導体は中国の発展に欠かせないものであるため、中国共産党は台湾を占領の動機付けになると分析する。
中国共産党、台湾統一の動機付け「半導体事業を支配下に…」=米調査
『China Crisis(中国危機)』の著者であるジェームズ・ゴリー氏は、中国共産党が台湾の製造能力を獲得すれば、中共が非常に有利になり、他国の安全保障を危険にさらす可能性があると指摘している。これは、ほとんどの国のAIや5Gがこれらのチップを利用した結果であると、同氏は10月27日に行われた英文大紀元のオンラインウェビナーで述べた。
USICAには、台湾の自立を強く擁護する条項が多くある。例えば、USICAは米国に対して「国連への台湾の有意義な参加を提唱し、積極的に推進すること」を求めている。また、同法案は「中国が武力を用いて台湾の現状を変えようとするいかなる行動にも強く反対する」と主張している。
上院がこの法案に投票しようとした際、下院外交委員会のグレゴリー・ミークス委員長(民主党)は、台湾や人権問題へのアプローチを軟化させた同様の法案を下院に提出した。この法案は、「米国グローバル・リーダーシップおよび関与保障法案(Eagle Act)」と呼ばれている。
大紀元の分析によると、中国の台湾侵略に対する米国の対応を詳述したUSICAの一部の条項が、EAGLEでは削除または変更されていた。これを受けて、下院の共和党員たちは、中共に対してより厳しいアプローチを取ることを要求した。
スティーブ・シャボット下院議員(オハイオ州選出)は、6月に大紀元に対し、「近隣諸国への侵略や国内での虐待に対して中共に責任を負わせるよう、我々は超党派的に協力し、厳しい法案で対応する必要がある」と述べた。
下院外交委の共和党トップ、マイケル・マコール議員は「中共がもたらす世代を超えた脅威に対処するために、議会が強力な超党派の法案を可決することが重要だ」と述べた。
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