米通信委員会 中国系試験機関の認証取り消しへ 国家安全保障上の懸念

2025/09/09 更新: 2025/09/10

米連邦通信委員会(FCC)は9月8日、国家安全保障上の理由から、中国共産党(中共)当局が所有または支配する7つの試験機関の認証取り消し手続きを開始したと発表した。これにより、これらの機関はスマートフォン、カメラ、コンピューターなどアメリカ向け電子機器の試験を行うことができなくなる。

FCCによると、5月以降、別の中国系試験機関4社の認証が順次失効しており、更新は認められていない。このうち2社は更新を申請していたが却下された。

FCCは今年5月、委員会会合で新規則を可決し、敵対的な外国政府が所有または支配する試験機関や電気通信認証機関がFCCの機器認証プログラムに参加することを禁止している。この新規則は先週末に正式に施行された。

FCCは声明で「本日、FCCは『悪意ある試験機関(bad labs)』による脅威に対処するため、初動措置を講じた。これらの機関はアメリカで使用される電子製品を試験・承認してきたが、最終的には敵対的な外国政府によって所有または支配されている」と説明した。

FCCのブレンダン・カー委員は「トランプ大統領はアメリカの製造能力を取り戻し、重要なサプライチェーンを外国の脅威から守る取り組みを主導している。今回の『悪意ある試験機関』に対する措置も、その目標を実現する一環だ」と述べた。さらに「敵対的な外国政府が、FCCがアメリカ市場での使用を承認する製品を試験する機関を所有・支配することはあってはならない。これは認証への信頼を回復し、外国からの脅威を防ぐ重要な一歩だ」と強調した。

今回対象となったのは、重慶信息通信研究院、国家車聯網製品質量検験検測センター(CQC)、威凱検測(CVC Testing)および同上海支社、テュフラインランドCCIC(寧波)、中共信息通信研究院(CAICT)、上海計量測試技術研究院(SIMT)、UL-CCIC、中共電子技術標準化研究院(広州)標準、中共検験認証集団南方検測有限公司(CCIC Southern Testing)など。

アメリカに輸入される電子製品はすべて事前に試験を受ける必要がある。FCCによると、現在アメリカで流通する電子製品の約75%は中国国内の試験機関で検査されており、新規則の施行はサプライチェーンや市場に大きな影響を及ぼす見通しだ。

これに対し、在米中共大使館は「米側は国家安全保障の概念を過度に拡大解釈し、国家権力や域外適用を濫用して中共企業を弾圧している」と反発し、「貿易や技術の問題を政治化・武器化することに反対する」との声明を発表した。

FCCは一方で、多くの中国系試験機関が中共政府と深い関係を持ち、国有企業や中共軍と関係していると指摘。こうした機関は過去数年にわたり、数千種類の電子製品を米国向けに試験してきた。

今回の措置は、FCCによる中共企業への体系的な審査強化の一環だ。2022年11月には、ファーウェイ、中興通訊(ZTE)、ハイテラ(Hytera)、ハイクビジョン(Hikvision)、浙江大華技術(Dahua Technology)などの中共企業製通信・監視機器について、新規承認を禁止している。

さらに今年3月には、ファーウェイやハイクビジョン、チャイナ・モバイル、中国電信など9社に対し、現行規制の回避が行われていないか調査を開始していた。

 

陳霆
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