60を超える米共和党下院議員らが2日、共産主義の危険性を教える項目を学校のカリキュラムに組み込むよう促す法案を提出した。共産主義や社会主義に好印象を持つミレニアル世代が増えるなか、共産主義の真の姿を学ぶ機会を提供するとしている。
「Crucial Communism Teaching Act(仮邦訳:批判的共産主義教育法)」は、米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」が策定したカリキュラムを通じて、共産主義や全体主義の危険性について学ぶ教材を希望する学校に提供する。法案は「共産主義により1億人以上の命が奪われた。今なお、共産主義のもと15億人が苦しんでいる。共産主義と同様の政治的イデオロギーの危険性を理解することを目的とする」と記した。
法案の提出したマリア・サラザール議員は、共産主義が掲げる唯一の平等は「貧困、飢え、抑圧の平等だ」と述べ、マルクス主義や共産主義の本質を学ぶ機会を若い世代に与えなければ、将来もたらされる影響は計り知れないと指摘した。また、「かつて繁栄を極めていたキューバは共産主義体制の下、暗黒の穴に落ちた」とキューバから米国に逃れてきた両親の体験を語り、共産主義が吹聴する魅力的な虚言に騙されてはならないと述べた。
米海軍特殊部隊から議員へ転身したダン・クレンショー氏は「米国の学生の多くは、自分たちが『ロマンティックでグラマラス』に描いている共産主義革命の指導者が、実際にはどのような人物であったかを知らない」と指摘した。「歴史を学ぶことで社会主義から脱却する重要な第一歩となる」と強調し、法案の重要性を訴えた。
米フロリダ州知事のデサンティス氏は6月、公立高校で共産主義の歴史を学ぶことを義務付ける法案に署名した。今回の法案はこの取り組みに続く形だ。同氏は「なぜ共産主義国から命懸けで米国に亡命してきた人々がいるのか。その理由を理解することが重要だ」と法案の意義を強調した。
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