米国の情報機関は、中国がアフリカ大西洋沿岸の赤道ギニア共和国に、初の軍事拠点を建設しようとしていることを突き止めた。米当局は詳細を明らかにしていないが、中国の軍事的脅威が大西洋地域に及ぶことを意味すると警戒を強めている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)5日付がバイデン政権関係者の情報として伝えたところによると、ジョン・ファイナー米大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は10月に赤道ギニアを訪問し、同国のテオドロ・オビアン・ンゲマ・ンバゾゴ大統領とその息子(副大統領)に中国政府の要求を断るよう求めた。
米国は赤道ギニアに対し、同国における中国の軍事的活動は国家安保上の不安を招くと伝え、同国が米中競争にかかわることは短絡的だと警告を発した。
米政府関係者によれば、中国政府の狙い目はバタ市にある。中国は、ギニア湾に面し大西洋岸にあるこの都市に深水港を建設した。同市は、ガボン共和国や中央アフリカ内陸部などと高速道路で結ばれ、交通が整っている。
米情報機関は、2019年から赤道ギニアにおける中国の軍事的計画に関する情報の収集をはじめた。
米アフリカ軍のスティーブン・J・タウンゼント司令官は4月に米上院公聴会の証人喚問で、中国の「もっとも重大な脅威」は、「アフリカの大西洋岸に軍事利用可能な海軍施設ができることだ」と証言した。
中国政府の公式発表によると、過去20年間にアフリカ各地に100の商業港を建設した。一方、米国は、アフリカの港に軍事拠点を設けようとする中国政府の計画を何度も阻止した。最近では、中国がアラブ首長国連邦(UAE)で秘密裏に進めていた軍事施設の建設を、米政府の介入によって中断した。
これまで、中国大手国営企業は60以上の国で港を建設したり、港の運営権をリースしたりしている。米英の軍事専門家らは「港湾を管轄する中国は出兵することなく戦略的支配の立場を得られる」と懸念を抱いている。
(翻訳編集・叶子静)
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