先月23日から続いている中国西安市の都市閉鎖は、半導体チップの供給不足を招く恐れがある。韓国のサムスン電子や米マイクロン・テクノロジーなどの国際半導体製造大手が同市で工場を構えているためだ。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の8日付が報じた。
サムスン電子とマイクロン・テクノロジーは、西安の工場の操業が都市封鎖の影響を受け、一部製品の納入が遅れたと発表した。2社は、グローバルな製造ネットワークを活用し、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に抑えるよう取り組んでいると示した。
2社の西安工場の主力製品は、携帯電話やパソコン、サーバーなどに使われるDRAMや3D NANDチップだ。
サムスン電子の西安工場は3300人以上の従業員を抱えている。韓国の経済日報紙によると、西安工場で生産される3D NANDは、同社の全NANDの40%を超える月25万枚に達し、世界のNAND出荷額の15%強を占めている。
格付け会社フィッチ・レーティングスは、NAND型フラッシュメモリチップの供給の遅れが続けば、業界にマイナスの影響を及ぼすと予測した。
IT情報サイトTECH+によると、韓国の業界関係者の間では、完成品の在庫がかなりあり当面の供給に支障はないとの見方が出ている。ただ、都市封鎖が長引けば、世界的なNAND不足問題が発生する懸念があることに留意する必要があるという。
台湾企業の「力成科技(Powertech Technology Inc.)」も昨年12月30日、一部の従業員の出勤が困難なため、生産能力を4〜5割までに落とすと発表した。
中国経済ニュースサイト「貝殼財經」によると、2020年末までに、西安の半導体産業の総生産額は約1000億元(約1兆8千億円)を超えた。
野村証券は7月に発表した報告書で、「都市封鎖によってサプライチェーンはすでに寸断されている」と警鐘を鳴らした。
(翻訳編集・叶子静)
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