デンマークの公安および情報機関である国家警察情報局(PET)は13日、同国に対する中国、ロシア、イランからの諜報活動は近年活発化し、脅威が著しく増大していると警告を発した。
PETが発表した同国に対するスパイ活動の脅威評価の報告書によると、外国からの諜報活動には主に、影響力活動、嫌がらせ、技術や知識の不正入手の試み、暗殺計画などが含まれている。
北極への関心から、脅威はデンマークの自治領であるフェロー諸島やグリーンランドにも及んでいるという。
デンマークの防諜機関の責任者であるAnders Henriksen氏は、「我が国の学術成果に対する中国の関心は明らかに高まっており、中国はデンマークの先端技術や知識を自国に移転しようと力を注いでいる」と指摘した。
「その脅威は一部の大学や学術交流活動の中に潜んでいるが、学術機関は諜報活動に対する警戒が足りない」「特定の研究では例え早期段階であっても、軍事目的に利用される可能性がある」と同氏は指摘した。
報告書によると、外国の諜報機関が特に関心を寄せているのは、外交・安全保障・防衛政策などの政府部門とエネルギー・原材料分野の関係者だという。
海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」は、少なくとも30人のデンマークの研究者を採用したとデンマークメディアは昨年伝えた。
デンマークの対外情報機関のトップを務めるラース・フィンセン(Lars Findsen)氏は、機密情報を漏えいした疑いで、昨年12月に逮捕された。
北極は中国の「垂涎の的」
フィンランドのラップランド大学の北極センターのTimo Koivurova教授は、「中国は極地研究に非常に積極的で、多額の投資を行っている」と指摘した。
中国極地研究センターは、2018年にフィンランド最北の町であるケミヤルヴィに代表団を送り、北極圏研究のために地元の空港の購入または租借を提案した。同提案はフィンランド軍によって拒否された。
重要な戦略的価値を持つケミヤルヴィ空港は、フィンランドの重要な軍事演習場であるロヴァヤルヴィ(Rovajarvi)の近くに位置している。北極海のみならず、北東航路(北極海航路)の研究などにも役立つ。そのため、中国もロシアも、同地域に非常に興味を持っている。
フィンランド国防省顧問のAnu Sallinen氏は当時、「特別な戦略的地位を持つ資産は、外国政府機関の手に渡ってはならない」と表明した。
中国の北極への関与は近年、より積極的かつ具体的になってきている。2018年に初となる「中国の北極政策白書」を公表し、同国の海洋覇権の野望が北極海航路まで及んでいることに北極海周辺国の警戒が高まっている。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。