米国のクリス・スミス下院議員は27日、ワシントンの中国大使館前で行われた抗議集会でスピーチを行った。北京冬季五輪を「ジェノサイド・ゲーム」と例え、中国共産党による人権侵害に目を逸らすことのないよう呼びかけた。
中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の有力委員でもあるスミス氏は「私たちは声なき中国の人々のために声をあげている。人々を抑圧する中国共産党の味方にはなりえない」と述べた。
スミス氏は、1月12日に中国共産党によって拘束された人権弁護士の郭飛雄氏の釈放や、ウイグル人など少数民族に対する迫害の停止、香港の民主主義への破壊を止めるよう訴えた。来週開幕する北京冬季五輪を「ジェノサイド・ゲーム」と表現し、中国本土では凄惨な人権侵害が継続していることを強調した。
さらに、法輪功学習者やウイグル人に対する臓器強制摘出問題を挙げ、北京五輪のスポンサーに名を連ねる米企業や放送権利を購入した米メディアに対し、人道犯罪に「目をつぶらないように」と呼びかけた。国際オリンピック委員会(IOC)について、ドーピング違反の国に出場停止の処分を下すにもかかわらず、米国務省が認定した中国共産党の「ジェノサイド」を不問としていることを非難した。
スミス氏は「中国政府の権力者たちが心を入れ替え共産主義の邪悪さを捨て、慈愛を理解するように祈る」と呼びかけ、中国国内の人々に対する迫害を即時停止しその責任を説明するよう求めた。
ワシントン拠点の人権団体・対華援助協会(チャイナエイド)が主催した集会には、在米の中国民主化活動家のほか、ユダヤ人団体やキリスト教団体、ウイグル人組織の代表者ら約30人(主催発表)が参加した。
対華援助協会の傅希秋会長は、中国本土について「表現や信条の自由が抑圧され、監視のはびこる危険な人権環境」であると説明した。そして五輪憲章の理念を抱く選手がそのような環境下で競技に参加すべきでないと指摘した。
集会に参加した人権弁護士の陳光誠氏は「中国共産党はすでに人類の敵に成り下がった。権威主義体制を維持するために手段を選ばない」と訴えた。旧ソ連の冷徹さを表す「モスクワは涙を信じない」という俗語を取り上げ、「中国共産党は血に飢え人の命を雑草の如く軽んじている」と語った。
現地のユダヤ人団体でウイグル問題を担当するカレン・グーバーマン氏は、1936年のベルリン五輪の後に起こったナチスによるユダヤ人虐殺からIOCは教訓を学んでいないと非難した。中国共産党の現代版ジェノサイドを止めなければ、ウイグル人に続いてほかの団体も迫害されることになるだろうと語気を強めた。
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