米欧や日本が加盟する国際的な議員連盟「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)は31日、2月4日に開幕する北京冬季五輪前にウイグル人に対する中国共産党政権の迫害政策について報告書を公表するよう、バチェレ国連人権高等弁務官に求めた。
IPACは公開書簡で「世界の関心が冬季五輪の開催地である北京に向けられている今、中国共産党に(新疆ウイグル自治区での弾圧)行為について説明責任を負わせることが最も重要だ」と述べた。中国共産党に圧力をかけることで「いかなる国も監視の目を逃れたり、国際法を逸脱したりできないという重要な注意喚起になる」と強調した。
2020年6月には国連人権専門家50人以上が中国共産党による深刻な基本的権利の侵害を非難する異例の声明を発表。「中国における基本的な自由を保護する断固たる措置」を求めた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は昨年12月、新疆ウイグル自治区での人権状況に関する報告書を数週間以内に発表するとしていたが、一転して28日に北京冬季五輪前に公表しない方針を明らかにした。
これに対しIPACの豪共同代表ジェームズ・パターソン議員は、国連人権専門家が警告を発してから1年半が経過している状況を挙げ「これ以上先延ばしはできない」と追及。「人権を守ることを使命とする国連は、ジェノサイド(大量虐殺)や人道に対する罪への重大な疑惑に対して行動を起こしていない」と非難した。
IPACのドイツ共同代表ラインハルト・ビュティコファー議員は声明のなかで「中国共産党が新疆ウイグル自治区での残虐行為をなかったかのようにすることは許されない」と述べ、一刻も早い報告書の発表を求めた。
新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人や少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働、中国共産党への服従を強いる「再教育(洗脳)」が行われていると人権団体などから指摘されている。米国務省ほかオランダ、カナダ、英国、フランスの各議会もウイグル人に対する中国共産党の弾圧を「ジェノサイド」と認定し、非難している。
1月にも、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)のジェフ・マークリー委員長らが新疆ウイグル自治区での人権侵害について報告書を公表するよう、国連バチェレ国連人権高等弁務官に求めている。
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