過去2度にわたり見送られた中国人権決議は、文言の軟化を経て衆議院本会議で採択され、日中国交正常化50年の節目における態度表明となった。米国在住の中国時事コメンテーターの唐靖遠氏は、決議の採択は日本が経済的利益を重視する「利益外交」から「価値観外交」への転換の始まりだと指摘する。
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日本の国会決議について非難の表現などに変化が加えられたのは、主に経済的な配慮によるものとみている。米中対立の激しい競争の最中、多くの国が政治体制や安全保障の分野で米国に依存しているが、経済分野では中国に依存している。このことは、米国の中核的な同盟国である日本も例外ではない。
もちろん、このような決議が日本の国会で採択されたことには非常に肯定的な側面がある。日本は、新疆ウイグル自治区で起きている深刻な人権迫害問題に対する沈黙を破り、声を上げるようになった。少なくとも、岸田政権が「利益外交」から「価値観外交」への変換の萌芽と解釈することができる。
決議文の表現の軟化については、中国共産党が経済力を利用して日本の政治的決定に影響を与えようとする事実を客観的に反映するものといえるだろう。
これは中国共産党の対外的な拡大と浸透の最も典型的な手法であり、日本は警戒すべきだ。日本が同盟国との産業サプライチェーンを再構築し、中国共産党への経済的依存から脱却することの重要性と緊急性も、改めて浮き彫りとなった。
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