ペロシ米下院議長は3日、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の会合に参加し、中国共産党による重大な人権侵害を非難した。同委員会は毎年中国の人権と法の支配に関する報告会を行なっている。
ペロシ氏は、北京冬季五輪の開会式を前に「商業的利益のために中国の人権侵害に沈黙するのであれば、他国の人権侵害にも声を上げる道徳的権限を失ってしまう」と懸念を表明した。
国際オリンピック委員会(IOC)については「企業スポンサーの支援を得て、収益向上」のことだけを考えていると指摘。中国共産党によるジェノサイド(大量虐殺)は「見て見ぬふりをしている」と批判した。
CECCジェフ・マークレー委員長も中国での市場シェアを失うことを恐れて声を上げようとしないIOCとそのスポンサー企業に疑問を呈し「強制労働への依存や人道に対する罪を助長する以外に、お金を稼ぐ方法を見つけ出す必要がある」と厳しい言葉を投げかけた。
IOCは強制労働により生産された疑いのある新疆綿の使用を公言する中国企業2社と公式スポンサー契約を結んでいる。CECCはIOCに対して2社との契約情報開示を求めたところ、IOCは「中国産の綿は使用していない」と先月19日に発表した。
新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人や少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働、中国共産党への服従を強いる「再教育(洗脳)」が行われていると人権団体などから指摘されている。前出の両氏は「米国と国際社会は中国での人権侵害の真実を知っている」と述べ、「ジェノサイド」と認定している米国の姿勢を改めて強調した。
ペロシ氏は、北京の人権侵害に立ち向かう米国の姿勢を「道徳的な義務」としながらも、同時に中国に滞在する米国選手ら関係者の安全に配慮を示した。「中国共産党が言うことを一瞬たりとも信じてはならない。(発言することで)リスクを負うことになる」と述べ、「中国共産党幹部の注意を引きつけるような活動」は控えるよう呼びかけた。
北京冬季五輪大会組織委員会の高官は中国の人権問題について発言する選手に対し、参加資格を取り消すなどの処分を行うとしている。
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