中国受注の「インドネシア高速鉄道計画」は、20億ドルのコスト超過に直面している。投資を回収し、利益が出るまでに40年はかかる見通しだという。
高速鉄道を建設する企業連合の「インドネシア中国高速鉄道社(KCIC)」のドウィヤナ・スラメット・リヤディ(Dwiyana Slamet Riyadi)社長が7日の議会公聴会で明かした。
現在、KCICが建設中の首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンを結ぶ高速鉄道(総延長142キロメートル)プロジェクトは、中国の「一帯一路」構想のもと、中国国家開発銀行が資金を提供して、2018年から着工した。
土地の所有権をめぐる紛争や環境問題、パンデミックによる人員不足などにより相次ぐ工期延長の影響で、完工時期が何度も延期された。現在、遅れながらも工事は続いている。
当初は完成後20年以内に投資を回収し、利益を上げ始める計画だった。
しかし、リヤディ社長によると、政府の首都移転(24年から首都をジャカルタからカリマンタン島(ボルネオ島)へ)の影響もあり、同鉄道の乗客数は当初見積もりの1日あたり6万1157人から3万1215人に激減する可能性がある。そのため、投資を回収できるのは完成してから40年はかかるという。
用地買収の遅れや労働者の賃金上昇、高騰が続く原材料などで、プロジェクトは約20億ドルのコスト超過に直面しているという。プロジェクト終了時の総事業費は113兆ルピア(約78.5億ドル)に上ると試算される。
ロイター通信がKCICのデータを引用して報じたところによると、同プロジェクトは昨年末時点で工事の進捗率は79.9%で、2022年末までに一部区間の試運転を行った後、2023年に全線完工を目指している。
このプロジェクトをめぐって、日本と中国は当時、激しい受注合戦を展開した。最終的にインドネシアは、財政負担を伴わない中国案の採用を決定した。
中国は現在、世界で最も早く高速鉄道を開発・建設している国である。「インドネシア高速鉄道計画」は中国以外の国で、完全に中国規格で建てる初の鉄道となる。そのため、将来に向けた成功事例を作るためにも重要な存在とされている。
(翻訳編集・李凌)
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