10月11日、インドネシア政府は、中国の通販サイトであるTemuのアプリを国内から削除するようAppleとGoogleに正式に要求した。この措置は、中国製の低価格商品が地元中小企業に与える影響を抑えるためであり、電子商取引市場での「不健全な競争」を防ぐ目的があると通信大臣は述べている。この政策は、地元経済を保護し、数百万人のインドネシア人の利益を守ることを目的としている。
インドネシアの通信大臣ブディ・アリエ・セティアディ氏は、ロイター通信に対し、この措置はインドネシアの中小企業を、ピンドゥオドゥオ(拼多多)傘下のTemuが提供する安価な製品から、守るための予防的なものであると説明した。しかし、当局はまだ国内の住民がこの通販サイトで取引を行っていることを確認していない。
Temuは、中国から直接顧客に「小包」を郵送することで迅速にビジネスを拡大しており、いくつかの国がこの低コストのビジネスモデルを調査している。
セティアディ氏は、Temuのビジネスモデルが、消費者と中国の製造業者の間に直接的な接続を構築し、価格を大幅に引き下げるものであり、これは「不健全な競争」であると述べた。
インドネシア当局は、Temuのビジネスモデルはサプライチェーン内の地元の利害関係者、例えば転売業者や運送業者を排除しているため、低価格で競争できるようになった。安価な製品で市場に参入することで地元の小規模商業者に圧力をかけていると指摘した。
「私たちは電子商取引を守るためにここにいるのではなく、中小企業を守るためにここにいる」と大臣は強調した。「私たちは数百万人のインドネシア人を守らなければならない」
セティアディ氏は、「私たちはTemuを下げた。これは主に中小企業からの苦情に応じたものだ」と述べ、インドネシアのアップルストア(App Store)とグーグルストア(Google Play)で、このアプリを削除したことを報告した。
さらに、セティアディ氏は政府が中国の通販サイトSheinに対しても、 同様の削除を求める計画を明らかにした。
セティアディ氏はまた、インドネシアのTemuの現地電子商取引への投資を阻止する、と明言した。
インドネシア Temuは地元企業に対する脅威がTikTok Shopよりも大きい
Temuは東南アジア市場での事業拡大に努めている。シンクタンクLowy Instituteのデータによると、この地域の人口は約7億人で、経済規模は世界で5番目となっている。また、インドネシアはこの地域において最大の電子商取引市場を有している。
インドネシアは昨年、地元の商人やユーザーデータを守るために、TikTokに対して同国での電子商取引サービスを停止するように圧力をかけた。
数か月後、TikTokはインドネシアのテクノロジーグループGoToの電子商取引部門の株式を取得することに同意し、東南アジア最大の電子商取引市場に留まることを決定した。
Googleおよびコンサルティング会社のベイン社によると、インドネシアの電子商取引業界は2023年の620億ドルから2030年には約1600億ドルに成長すると予測している。
6月、インドネシアの協同組合および中小企業大臣は、Temuが地元企業にとってTikTok Shopよりも大きな脅威であると述べた。
Temuのベトナムのウェブサイトによると、同社がこの地域で最も成長している経済圏の一つに進出するのは明らかに急ぎすぎている。現在、同社はベトナムの主要なモバイル決済サービスであるMomo(ベトナムで最も普及しているモバイルウォレットアプリ)を、サポートしていない。
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