中共ウイルス(新型コロナ)に起因する厳しい感染防止策や中国での人権侵害問題など課題が山積するなか、米国メディアCNNは、中国共産党の北京冬季五輪への取り組みを称賛する記事広告を掲載した。中国共産党によるメディアへの浸透工作が改めて浮き彫りとなった。
CNNは「他に類を見ない冬のスポーツイベント」と題する中国国営メディア「新華社通信」の記事広告を掲載した。記事広告では、開催地中国による環境に配慮した取り組みが取り上げられたほか、「2008年の北京五輪同様、今大会はインフラや技術の面において遺産を残すだろう」との武漢氷雪スポーツ協会副会長の発言の引用も見られた。
広告記事の上下には、新華社通信の公式サイトのバナーが表示されており、クリックすると「習近平国家主席が中国を前例のないオリンピックの偉業へと導いた」などと称賛する内容の新華社通信の「特別報道」ページに遷移する。
米国務省は2020年、中国共産党機関紙の新華社通信や人民日報を「プロパガンダ機関」と認定した。
米国や英国などは中国共産党による人権侵害を非難し、北京冬季五輪に政府高官を派遣しない「外交的ボイコット」を実施した。また、カナダやスイスなどは中国共産党による個人情報の抜き取りや行動監視を警戒し、自国選手に私用スマートフォンを持ち込まないよう呼びかけた。
ニューヨークを拠点とする人権団体「法輪大法情報センター」は4日、五輪大会会場付近にある収容所の地図を公開した。それによると、会場から数キロ先に法輪功学習者が拷問を受けているとされる収容施設が存在している。
批判の声
CNNはこれまでにも、中国共産党を美化する報道を行い、批判されている。
昨年の中国共産党創立100周年に際しては「習近平は真のスターになるだろう」と称賛する記事を掲載。その数週間前には、「中国でワクチン接種が間もなく10億回を突破」と題する報道を発表し、ワクチン接種の「驚異的な」スピードを讃美した。
ケン・バック米下院議員は、CNNが新華社の広告を掲載したことについて「悲しいが、驚きはしない」と発言。大紀元の取材に対し「またしてもCNNは中国共産党を称賛し、その代弁者となることを選んだ」と述べた。
さらに「権威主義体制を敷く中国共産党はもちろん危険だ。しかし、大量虐殺を行い、勇気を振り絞って声を挙げる人々を黙らせてようとする政権に対し、その言い成りになる米国のジャーナリストも危険だ」と非難した。
新華社は昨年、ニューヨークの中心地に位置するタイムズスクエアの大型電子スクリーンに、「甘い果物」や「人々の幸せな生活」などをテーマとした、新疆ウイグル自治区の統治政策を礼賛する広告を流した。中国共産党の弾圧政策に対し国際社会から非難の声が上がるなか、悪印象を粉飾する狙いがあったのではないかとの見方がある。
中国共産党によるプロパガンダの発信は国営メディアだけに留まらない。北京冬季五輪を数カ月後に控える昨年11月、ニューヨークの中国領事館は共産党のイメージアップを図るため、SNSで影響力のある米国人インフルエンサーと30万ドルの契約を結んでいたことが判明した。五輪大会で導入する最新技術や「感動的な瞬間」といったコンテンツを配信するものだった。
英語大紀元はCNNに対しコメントを求めたが、記事発表までに回答はなかった。
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