米作家ピーター・シュバイツァー氏は、新著『見えざるクーデター』の中で、中国共産党(中共)が長年にわたり、いわゆる「出産旅行」を推し進めていると警鐘を鳴らしている。これは、多くの中国人にアメリカで子供を産ませ、中国で成人したその子供たちが将来、アメリカに戻って選挙に参加する可能性を狙ったものだ。シュバイツァー氏は、この手法が出生地主義の制度的欠陥を突いたものであり、アメリカの国家安全保障に対する脅威であると断言している。
シュバイツァー氏は「人数は非常に多く、当時は大きな衝撃を受けた。私に言わせれば、出生地主義の問題は極めて重要だ。なぜなら、それは巨大な抜け穴となっており、しかも解決可能な問題だからだ」と述べた。
さらに同氏は、中共が組織的に出産旅行を進めており、現在、国内には中共に同調的なアメリカ市民が50万人から100万人ほど存在する可能性があるとの見解を示した。
「どれほどの中国人がアメリカに渡り、ここで子供を産んでから中国へ連れ帰り、共産主義体制下の中国で育てているのか。そのデータは存在するのだろうか。彼らは18歳になれば(アメリカ)市民となり、投票権を含むあらゆる権利を享受することになる。連邦政府はこの実態を全く把握しておらず、追跡もしていない」
シュバイツァー氏によれば、こうした手法は数年前から継続しており、組織的・体系的に行っているという。
同氏は「中共政府や一部研究機関によれば、過去およそ13年間、毎年5万~10万人の中国人がこの方法でアメリカに渡り出産してきた。この状況は13年も続いており、その規模は驚愕に値する。また、この説を裏付ける実例も数多く存在している」と述べた。
また、「ロサンゼルス国際空港から上海へ向かう便では、ビジネスクラスが新生児を連れた乗客で埋め尽くされていると報じられた。これは非常に深刻な問題だ」と指摘した。
シュバイツァー氏は、中共による出産旅行の動機は、単に生活水準の向上を求めるものではなく、アメリカの制度上の弱点を突いた長期的な戦略にあるとみている。
「我々が議論すべき要点はそこではない。重要なのは、これが極めて組織的な手法であり、中共が香港で長年推し進めてきたやり方だということ。2010年ころには、香港で生まれた新生児の約半数が中国人だった。彼らは出生地主義によって香港の市民権を得ていた。当時、香港政府はこうした動きを阻止せざるを得なかった。すでに国家秩序を覆しかねない行為に該当すると判断、これ以上の継続は容認できなかったためだ。そして今、同様のことがアメリカで見られる」と述べた。
さらに同氏は、中共の機関紙「人民日報」が出産旅行を公然と紹介し、アメリカ憲法修正第14条を市民権取得の手段として強調してきたとも指摘した。また、こうした渡航を専門に手配する「国連アメリカ」と名乗る組織の存在にも触れている。
「彼らは顧客層を誇示しており、軍関係者、情報機関関係者、中共官僚、宣伝部関係者が含まれるとしている。これらの人は反体制派ではなく、体制を支えるエリートや中核的な人物だ」と語った。
シュバイツァー氏は、2030年までに、中国で育ったアメリカ市民およそ100万人が選挙に参加する可能性があると予測している。
「彼らは我々の選挙で投票し、政治資金の献金も行うだろう。2016年の大統領選では、最終的な勝敗を分けたのはわずか7万2千票の差であったことを忘れてはならない。それを考えれば、100万票という数は決して小さな数字ではない」と述べた。
同氏は、最高裁が出生地主義を巡る訴訟を審理する際、中国からの出産旅行の実態も考慮に入れるべきだと訴えている。また、トランプ政権は、こうした行為をビザ詐欺として起訴していた事例もあったと付け加えた。
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