ロシアによるウクライナ侵攻開始から1カ月経った今なお、中国官製メディアとSNS上ではロシア支持の記事は主流を占めている。こうしたプロパガンダを打ち破るため、中国語を話せるウクライナ人は、中国語に翻訳した死亡者数や現地の状況など戦争の最新情報を、SNSや動画サイトに積極的に投稿している。
ウクライナのインフルエンサー、Mashaさんはその1人だ。彼女は流暢な中国語で、故郷である東部ドネツク州コンスタンチノフカの状況を伝える動画を投稿している。
「パンは足りないし、どの銀行にも現金がない…..現金がなければ食料も買えない。この町は静かに死んでいくようだ」と彼女は訴えた。
Mashaさんの「戦争生活」の動画はすでに100万回以上再生され、フォロワーは現在60万人を突破した。
プロパガンダの壁を打ち破りたい
北京の大学で国際関係を学ぶウクライナ人のRoman Khivrenkoさん(32)は、「中国のソーシャルメディアプラットフォームや公式メディアが提供する戦争情報は、ロシアからの影響を強く受けている」とし、「プロパガンダの壁を破り、中国民衆に真実の状況を見せたい」と話した。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、Khivrenkoさんのようなウクライナ人にとって「プロパガンダとの闘いも抵抗の一部になっている」と指摘した。
「彼ら(ウクライナ人)は中国市民から何かを得たいとは考えていない。ただ北京にロシアの侵略戦争を支持してほしくないと望んでいる」と同紙は報じた。
検閲で消される反戦の声
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、「中国のネットユーザーが見ている戦争は世界の多くの地域で見ているそれと、まったく異なるものだ」と指摘した。
「このやり方は中国民衆を事実から遠ざけると同時に混乱の種をまいている」とした。
中国メディアは、ウクライナと米国を「ファシズム国家」と呼ぶ評論家の記事を積極的に転載している。
「中国には反戦の声もあるが、すぐに検閲され、消される」とNYT紙は指摘した。
2月26日、中国の有名大学の歴史学者ら5人は連名でロシアを批判する文章をSNSに発表したが、文章は約1時間半後に削除された。
(翻訳編集・李凌)
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