ポンペオ前国務長官はいまだ発表されていないバイデン政権の国家安全保障戦略について、権威主義の抑制に焦点を当て共産党政権の中国を「競争相手」ではなく「敵対者」と認識するべきだと語った。
ポンペオ氏は28日、ワシントン拠点の保守系シンクタンク・ハドソン研究所のインタビューで、「曖昧な位置にいるのは本当に危険だ」と述べた。
たとえば米国は現在、台湾については「戦略的曖昧さ」を維持しており、台湾の事実上の自立が中国共産党によって脅かされた場合、軍事支援を行うかどうかについて肯定も否定もしていない。
中国との関係について、バイデン政権は基本的に前政権の路線を引き継ぎ、中国を「戦略的競争相手」とみなしている。
しかし、ポンペオ氏は、中国共産党の脅威が拡大している現在、この言葉はもはや適切ではなく、「私なら『敵対者』という言葉を使う」と話す。
バイデン政権の今後の国家安全保障戦略は近日中に発表される予定。同戦略は昨年3月に暫定指針が公表されたが、ウクライナ侵攻を経たいま、正式な戦略には対露政策に変更が加えられると見られている。
ポンペオ氏によると、現政権は中国共産党の脅威を理解していないという。対中政策より気候変動問題を優先させれば、国際社会に誤ったメッセージを送ることになる。
「少し前のことだが、バイデン大統領は兵士たちに『米国にとって最大の安全保障上のリスクは気候変動である』と言った。彼が個人的に何を信じているのかが明らかになった」
ポンペオ氏は、気候変動問題を重視する現政権の考えが、米国の安全保障に直接影響を与えていると指摘する。中国との初めての対面外交で気候変動を担当するジョン・ケリー特使が派遣されたことも、「重大なミス」だったと話す。
またポンペオ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、バイデン政権がイラン核合意復活をめぐりロシアと交渉を続けていることについて疑問を呈した。
「(バイデン政権は)今もロシアと一緒のテーブルに着いている」「全くの無知だ。これは甘い考えで、米国にとって危険なことだ」とポンペオ氏は言う。
ポンペオ氏は、権威主義的な指導者を外交的に受け入れ続けることは、中国共産党によるさらなる侵略や抑圧を助長することになると警告した。
「中国共産党は、自分たちの世界覇権のビジョンが危険にさらされていることを知らない」とポンペオ氏は言う。「覇権国家を目指す習近平氏のビジョンは変わっていない」
中国による台湾侵攻の可能性については、「習近平氏の戦術は変わるかもしれないが、彼の目的は変わらないだろう」と述べた。台湾への支援として軍事訓練や軍事支援、情報共有の強化などを挙げた。
「独裁的な指導者は、侵略こそが解決策だと考えている。その犠牲者にならないために、台湾は能力を高めなければならないことを、台湾も理解している」とポンペオ氏は語った。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。