元米プロバスケットボール(NBA)選手のエネス・カンター・フリーダム氏は、ウクライナに支持を示すNBAに対して、中国共産党の人権問題に沈黙するのはなぜかと問いかけた。
「NBAボストン・セルティックスのコーチ陣がウクライナの国旗ピンをつけている。私もそれを支持する。しかしシリアやアフガニスタン、ウイグル、香港、チベット、台湾はどうなんだ」とツイッターに投稿した。
カンター氏はSNSやインタビューを通して中国共産党の非人道性を積極的に訴え続けてきた。NBAの試合では「フリーチベット(Free Tibet)」「中国での臓器狩りを停止せよ(Stop Organ Harvesting in China)」といったスローガンをバスケットボールシューズに描いて注目を集めた。
これに対してNBAは、このようなバスケットボールシューズを履かないよう懇願し、追放すると脅しをかけてきたとカンター氏は語る。「なぜウクライナの人権侵害については発言することが許され、他国は許されないのか」と疑問を呈した。
中国共産党はNBA選手など世界的な著名人が同国の人権問題を取り上げると、決まって経済的な報復を課してきた。2019年10月には、NBAヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャーを務めていたダリル・モーリー氏が香港の民主派デモを支持する内容のツイートをしたところ、中国国内のNBAの試合放送が一時停止となった。
昨年10月には、カンター氏が中国共産党によるチベット弾圧を批判した後、IT大手の騰訊控股(テンセント)はセルティックスの試合放送を取りやめた。今なおこの措置は続いているという。
2月にNBAを解雇されたカンター氏は「社会正義や世界中で起きている数々の不公平について発信できる。しかし中国の人権問題は例外で、逆に報いを受けることになる」とその無念さを語っていた。
ロシアによるウクライナ侵攻以来、カンター氏はウクライナに寄り添う投稿も欠かさず行なっている。24日にはウクライナ国旗の青と黄色の背景色に、鳩と平和の象徴であるオリーブの枝が描かれていたバスケットボールシューズをツイッターに投稿。「ウクライナに自由を(Freedom to Ukraine)」とメッセージを添えた。
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