中国の医師、脳死判定を行わずに臓器摘出=米国移植学会誌

2022/04/07 更新: 2022/04/07

世界的に権威のある医学雑誌、米国移植学会誌が4日に発表した調査報告によれば、中国の医師は脳死する前の死刑囚から臓器を摘出していた可能性がある。執筆者は、医師らが「死刑執行人」になっていると指摘する。

調査報告は中国の臓器移植に関する12万件以上の論文を調査した。その結果、71件の論文は臓器摘出する前に脳死判定を行っていなかったことがわかった。

この71の論文の共著者には、中国全土の56の病院の外科医、看護師、麻酔科医など348人の医療関係者や研究者が名を連ねていた。

これらの論文は1980年から2015年にかけて作成されたものだ。この時期、中国には公的なドナー制度はなく、自発的なドナーも少なかった。中国共産党は当時、臓器移植は死刑囚の臓器を使用していると主張していた。

しかし2006年、カナダの元閣僚と人権弁護士らの調査により中国共産党が良心の囚人から強制的に臓器を摘出していることが明らかになった。

2019年にイギリスで開催された独立民衆法廷「中国民衆法廷」は、中国共産党の一党支配に置かれている中国本土では、長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出は相当な規模で行われている」と結論づけた。

また、同法廷では主な犠牲者は法輪功学習者だとし、2015年から公的な臓器提供しかしていないとする中国側の主張を否定した。

法輪功は「真善忍」という3つの理念を指針とする精神修養法だ。1999年以来、法輪功は中国共産党による弾圧政策の対象となっており、中国本土では、数百万人の学習者が収容施設に収容されている。

動かぬ証拠

同調査は、医師が臓器のために人を殺していたとする「決定的な証拠」だと、報告書の共著者でイスラエルのシェバ医療センター心臓移植ユニット所長のジェイコブ・ラビー氏は言う。

脳死判定の際は、人工呼吸器を外し「自力で呼吸ができないこと」を確認するなど定められた検査を行う必要があるため、数時間の時間を要する。

しかし中国が発表した論文では、脳死と判定した後や臓器を摘出する手術直前にもドナーの呼吸を確保するための挿管や酸素マスクが着用されていたケースが記されており、脳死判定が行われていないことがわかる。

「死亡宣告されていない人から臓器を調達している。つまり、死刑執行人だというわけだ」

中国の医師がこのような施術を公表したうえで欧米の医学雑誌に送られたとしたら「論文内容により拒否されていたはずだ」とラビー氏は述べた。内容的にも有罪判決相当だと指摘した。

2019年5月16日、ニューヨーク・マンハッタンで行われた法輪功パレード。中国共産党による強制臓器摘出の停止を求める(Samira Bouaou/The Epoch Times)

2015年以降、このような論文は発表されなくなったものの、中国共産党による臓器収奪が終わったわけではない。

国際NGO「法輪功迫害追跡調査国際組織(WOIPFG)」が2014年に発表した調査報告書は、臓器摘出の対象となっている健康状態が優良な「ドナー」が多数いることや、膨大な件数の臓器移植手術が毎日行われていると発表した。

共著者で非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」のマシュー・ロバートソン氏は、この発表により中国共産党は、不正な臓器移植手術を行なっていることがこれ以上公にならないよう関係者に圧力をかけたのだと指摘する。

「彼らは反体制派の発言に目を光らせており、特にこの問題は非常にデリケートだ。その痕跡を削除させるためには、電子メールや電話をかけるだけでいいのだ」

巨万の利益

WOIPFGは2020年、臓器移植を希望する患者を装い中国の病院に電話調査を行った。最短で1週間で臓器を提供すると約束した医師もいたという。臓器提供システムが確立されている他国では考えられないような「異例の早さ」だとし、中国共産党による臓器の強制摘出がいまだに続いていると結論付けた。

前出のラビー氏は「この業界は非常に儲かっている。その上、中国民衆法廷で明らかになったように、中国共産党の意向を汲みながら、利益を上げることができるのだから、ウィンウィン(win-win)の関係だ」と述べた。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。
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