豪ニュース専門局、スカイニュース・オーストラリア(Sky News Australia)は6日、中国が2020年からソロモンに同国での軍事基地の建設を打診していたことを示す機密文書を公開した。
ソロモン諸島内部の情報筋から入手したという文書は、中航国際成套設備有限公司(AVIC-INTL)の総支配人である錢栄氏が20年9月29日にソロモン諸島イサベル州(Isabel)のLeslie Kikolo前州知事に宛てた基本合意書である。
銭氏は合意書の中で、AVIC-INTL社は中国人民解放軍の海軍基地を建設するために、イサベル州の一部の土地を75年間、賃借したい意向を伝えた。
その見返りとして、中国やAVIC-INTL社はソロモンのインフラや教育、スポーツの発展を支援し、両国の軍事協力を推進することを銭氏は約束した。
中国とソロモンが先月18日に署名した「安全保障協定」の草案がネット上に流出し、懸念が広がった。草案には中国艦艇の寄港や物資補給を認めるなどの内容が含まれていたため、近隣の豪州やニュージーランドは反発を強めている。
南太平洋に位置する島国であるソロモンは地政学上の要衝でもあるため、中国の動きは、中国と南太平洋で覇権を争う米国からの強い警戒も招きかねない。
しかし、双方とも署名した草案にそのような内容はないと主張している。
ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は1日、「中国と結んだ安全保障協定に同国での中国軍の港建設は含まれていない」と明言。
さらに「ソロモン諸島の領土に外国の軍事基地や関連機関は今も将来も決して存在しない」と国民に約束し、「中国から軍事基地建設の協力要請を受けた事すらない」と主張した。
いっぽう、中国駐ソロモン大使館の公式ウェブサイトでも、5日付のプレスリリースで、中国がソロモンで軍事基地を建設する意図があるという報道は「政治目的で流したフェイクニュース」だと主張した。
豪スカイニュースは「中国国有企業がソロモンで軍施設を建設する案を提示したのに、両国政府は未だにその関連内容について説明していない」と指摘した。
「この文書は両国政府の隠蔽工作を暴いた」とした。
今回、租借の意向を表明したAVIC-INTL社は、中国航空技術国際控股(AVICインターナショナル)の完全子会社である。
AVICインターナショナルの親会社は中国国務院直属の中央企業である中国航空工業集団(AVIC)。
(翻訳編集・李凌)
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