米国の大学が昨年、中国政府または中国企業と結んだ契約は少なくとも1億2000万ドルに上る。米FOXニュースは12日、「大学海外贈与・契約報告書(College Foreign Gift and Contract Report)」のデータベースの情報を引用して報じた。
中国側は少なくとも20以上の米大学と契約を結んでいる。
報道によると、ヒューストン大学は昨年、中国の大連海事大学と3200万ドルの契約を結んでいる。両校が共同で「大連海事大学国際学院」を設立し、卒業生は双方の学位を取得できるという契約だ。
大連海事大学は中国の交通省に直属し、教育部、海洋局や大連市の政府が共同管理する国家「211プロジェクト」に選定された全国重点大学である。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)も、中国政府と5件の契約を結んでいる。総額は2650万ドルに上る。
マサチューセッツ工科大学(MIT)も中国の団体と1400万ドルの契約を締結しているが、契約相手の名は明かされていない。同大学は資金の由来は政府ではなく、企業だと主張している。
米教育省の「抜け穴」
米国の学校は25万ドルを超える海外からの寄付及び契約がある場合、2年ごとに教育省に報告することが義務付けられている。
しかし、イェール大学やコーネル大学など複数の名門校は、受け取った外国からの寄付や資金を正確に報告していない。資金の多くは中国政府からのものだという。米ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」2020年8月31日付が、Clarion Projectの研究を引用して報じていた。
報道によると、これらの大学が2014~19年の間に報告した外国資金の総額は110億ドルだが、実際の数字は140億ドル以上に上るという。
Lawfare Project が昨年行った世論調査の結果、6割近い米国の親は、大学の主な資金提供者が中国などの外国であることを知らなかったという。
「中国の最終目標は、米国の文化支配」
中国が米国の大学に多額の投資を行う動機について、専門家は「米国のキャンパスで影響力を得るためだ」と指摘している。
米下院教育労働力委員会の委員長であるバージニア・フォックス下院議員(共和党)はFOXニュースに対し、「中国の最終目標は、教育の支配だ」「教育を支配すれば、文化をも支配することになる」と指摘した。
「言論の自由」への圧迫
中国共産党政権は近年、米大学への圧力を強めている。
昨年末、天安門事件を支持するパデュー大学の中国人留学生が同じ中国人学生から嫌がらせを受けた。中国の国家安全当局の職員は中国にいる同留学生の両親のもとを訪れ、「息子に海外で人権・民主化活動に関与させないよう」圧力をかけた。
中国の浸透工作で、米大学での「学問の自由」や「言論の自由」が脅かされている。米国は近年、警戒を高めている。
米政府は中国政府が資金を出している孔子学院との提携を見直すよう強く働きかけたり、中国軍と関係のある大学院生の入国を拒否したりしている。
中国とのつながりを隠した米国の著名な研究者らが逮捕・訴追されるケースも相次いでいる。
(翻訳編集・李凌)
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