2019年香港で大規模な抗議活動が発生し、多くの抗議者や市民は当局に拘束された後、起訴・収監された。香港当局は、「過激な思想」を持つ受刑者に新たな更生プログラムを制定した。人権活動家らは、香港で「新疆化」が進んでいると批判した。
香港紙・明報14日付によると、香港の刑務所を管理する懲教署は、「過激な思想」を持つ受刑者を対象に、中国歴史や国民教育、心理(的治療)・価値観再構築、人生計画・家庭関係改善の3つの方面から新たな更生プログラムを作った。2月末までに、受刑者250人が「自ら」プログラムに参加したという。
警察を統括する保安局が立法会(議会に相当)に提出した資料では、懲教署が過去3年間収監した服役囚の年齢は18歳から30歳。2019年の1400人だったに対して、21年には約1800人に達した。未成年者の数は、19年の54人から21年の187人と大幅増となった。
懲教署の黄国興署長は3月末立法会質疑で、2019年の反政府抗議活動で収監された人の中に「過激な思想」を持つ人が多く、「過激な思想を取り除くための特別な更生プロジェクトが必要だ」と述べた。
英NGO団体、香港監察(ホンコンウォッチ)で政策顧問を務める卲嵐(Joey Siu)氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「中国共産党は、新疆ウイグル自治区の再教育収容所などで行われている洗脳教育を香港市民にも実施しようとしている」と批判した。
同氏は中国政府は香港の若者に「反抗的な考えを捨てさせ、愛国主義者に改造しようとしている」と指摘した。
2020年5月、香港の鄧炳強・警務処長(当時)は、19年の大規模抗議活動で抗議者8001人を拘束したと明らかにした。うち3286人が学生で、全体の41%を占める。また、学生のうち、6割が大学生で、4割が中高生だという。
香港警察当局が20年11月SNS上で公表した情報では、当局が19年6月9日から20年10月31日まで抗議活動参加者1万148人を拘束し、2325人を起訴した。
民主化活動に厳しい姿勢を示してきた李家超・保安局長がこのほど、5月に行われる香港の行政長官選挙に立候補した。同氏は、投票を行う選挙委員会の過半数の推薦を受けているため、行政長官の当選は確実な情勢となった。
7月に李政権が発足すれば、民主派への締め付けはさらに強化される恐れがある。
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