米国務省は今月初めに公表した「信教の自由に関する国際報告書(2021年版)」の中で、2020年に香港国家安全維持法(国安法)が導入されて以降、香港の信教の自由が悪化し、同政府が感染対策を口実に法輪功学習者らの活動を制限したと批判した。
同省の信教の自由を担当するラシャド・フセイン特任大使は2日の記者会見で、国民の信教の自由に対する中国政府の抑圧について、各国で依然として「顕著な事例」であると非難した。
報告書は、香港のミニ憲法(基本法)の下で、香港市民に信教の自由や宗教活動に参加する権利などが保障されると強調。
しかし、20年に中国政府が香港で国安法を実施し統制を強めて以降、民主派市民団体が解散に追い込まれ、民主化運動を支持するカトリック教などの教会や法輪功団体「香港法輪佛学会」などに対する香港当局の締め付けが強化された。また、中国政府からの迫害を避けるため、一部の宗教団体のリーダーは自己検閲を行っている。
報告書は、香港で伝統気功グループ、法輪功は合法団体と認められているにもかかわらず、近年、法輪功学習者に対する襲撃や嫌がらせが相次いだと指摘。
昨年5月11日、香港大紀元の記者で香港法輪佛学会の会長でもある梁珍氏は自宅近くで暴漢にこん棒で襲われ、病院に搬送された。警察当局は同年10月、容疑者を起訴するための証拠が十分ではないとして捜査を終了した。
報告書は香港大紀元の郭君社長の話を引用し、襲撃事件の背後に「中国共産党が存在する 」と示した。
また同年4月、ハンマーなどを持った4人組の男が香港大紀元の印刷工場に侵入し、印刷機械などを破壊した。新聞の印刷と発行は一時中止を余儀なくされた。同月、香港の街角で法輪功の迫害実態を伝える法輪功学習者に対する嫌がらせ、破壊行為も複数回起きた。
報告書によれば、昨年5月末、香港の食品環境衛生署は迫害事実を伝えるための法輪功学習者の複数の拠点を撤去した。同政府は感染対策の一環として、学習者のパレード進行を承認しなかった。同年7月20日、法輪功学習者が中国政府の出先機関「中央政府駐香港連絡弁公室(中連弁)」の庁舎前で反迫害集会を計画したが、警察当局に却下された。
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