米超党派議員からなる中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)は香港民主派の口座凍結や米国人の口座制限をめぐり、英金融大手・香港上海銀行(HSBC)に即時是正を求めた。民主派の取り締まりを強化する中国共産党の要請による措置なのかと厳しく追及した。
マルコ・ルビオ上院議員らは、HSBCグループのノエル・クイン最高経営責任者宛ての書簡で、同行の不当な口座凍結により香港の活動家や独立系メディア、市民団体などが解散に追い込まれたと非難した。民主主義を取り戻すためにも同行の措置について透明性のある回答を求めた。
口座を凍結された人の中には、立法会(議会)前議員で民主活動家の許智峯氏や、廃刊に追い込まれた香港紙・蘋果日報の創業者、黎智英氏が含まれる。
書簡は、香港の英国海外市民パスポート(BNO)保持者が英国に出国する際、HSBCの年金基金へのアクセスを拒否される実態についても言及した。「HSBCが政府の出国抑制政策に幇助しているのではないか」と疑問を呈した。
さらに同団体は、米国内のHSBC支店を含め、米国人の口座が制限されているとの情報を得たとし、これが事実であれば「直ちに是正する」よう要求している。
HSBCのアジア地域最高幹部であるピーター・ウォン(王冬勝)香港上海銀行(HSBC香港)副会長兼最高経営責任者は、国家安全法を支持する文書に署名している。
米国籍の民主活動家、朱牧民氏は、中国共産党が民間企業を利用して香港を弾圧するという「重要な戦術を暴いている」としてCECCの公開書簡に歓迎の意を示した。
さらに朱牧民氏は、HSBCの動きが米国法のもとで制裁が課される可能性もあると指摘している。米国では2020年7月、香港の自治を侵害する組織や個人に制裁を課すことを可能にする米国法「香港自治法(Hong Kong Autonomy Act )」が成立している。
中国共産党の全国人民代表大会(全人代)で定めた香港国家安全維持法が施行して以降、香港の民主主義は消滅の危機にある。民主活動家らは国家政権転覆罪で起訴され、現在釈放が認められているのは14人のみ。昨年の香港立法会議員選挙は事実上、民主派勢力を排除した「高度な自治を損なう」選挙となった。
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