12月15日、ネクスト・デジタル創業者で香港紙「りんご日報(アップル・デイリー)」の創業者でもある黎智英(ジミー・ライ)被告について、香港・西九龍裁判法院は、香港国家安全維持法違反など3つの罪状すべてで有罪と認定した。量刑は後日、言い渡される。
罪状は、「外国または域外勢力と共謀し国家安全を害した罪」2件と、「扇動的刊行物を共謀して発行した罪」1件の計3件。書面での最終意見書は2026年1月2日までに提出され、1月12日から4日間、情状弁護が行われる。
台湾や香港のネットメディア「稜角媒體(The Points)」によると、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中国担当ディレクター、サラ・ブルックス氏は、黎氏の判決について香港の報道の自由にとって葬鐘を鳴らすものだと批判し、報道という極めて重要な社会的機能が、この都市では犯罪とされてしまうと指摘した。
また、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長エレイン・ピアソン氏は、5年以上にわたり独房拘禁された末、根拠に乏しい罪で有罪になったことについて、残酷な司法の茶番だと非難。「中国共産党(中共)当局は黎智英氏を不当に扱っている」としたうえで、各国政府に対し、当局に圧力をかけて起訴を取り下げ、直ちに黎氏を釈放するよう求めた。
対中政策に関する超党派的な議員連盟も声明を発表し、香港当局による不公正で報復的な判決を厳しく糾弾した。
香港自由委員会基金会の英・EU担当ディレクター、マーク・サバ氏は、黎氏の裁判について法の転覆と策略に満ちた異様なものだったと述べ、今回の判決によって、香港の評価が完全に崩れたと強く批判した。
一方、判決を聞いた黎氏は、終始落ち着いた様子だったという。同日午前には、妻の李韻琴氏と末子の黎順恩氏、香港カトリック教区の元司教である陳日君氏、元社会民主連線メンバーの曾建成氏、元民主党主席の劉慧卿氏のほか、アメリカ、イギリス、カナダなど複数国の総領事館関係者が裁判所外に集まり、傍聴のため入廷を待った。
当日朝、裁判所の外には、各国の総領事館関係者も含み100人以上が傍聴を求めて列を作った。一部の市民は14日から現地で待機していたとされ、中国の標準語を話す人物の姿も確認された。また、周辺には多数の警察官を配置し、厳戒態勢が敷かれた。

現場にいた市民の一人は、「判決の結果にはもともと期待していない」と語り、黎氏の健康状態が悪化していることに言及しつつも、「特赦が行われるとは思っていない。ただ、様子を見に来ただけだ」と話した。
匿名の男性は、「この裁判は個人の問題にとどまらない」と述べ、「黎氏が裁かれているのは、香港人全体が裁かれているのと同じだと思う。これは香港人に対する裁判だ」と語った。さらに、「彼は9割の香港市民を代表する存在だ。彼が裁かれる。彼は真の香港人だ」と話した。
別の市民は、裁決そのものに関心があるとし、「結果がどうであれ、今日という日は香港人の記憶に刻まれるだろう」と繰り返し強調した。黎氏に関心を寄せる理由については、「言うまでもない。多くの人が理解しているはずだ」と述べた。

盧さんは、「事件に大きな期待はしていない」としながらも、支持を示すために足を運んだと説明し、「彼の健康を願っている」と語った。また、現在の制度下では保釈による治療も認められていないと述べ、「香港の司法制度や政府に対しても、大きな期待は抱いていない」と話した。

現在78歳の黎氏は、2020年8月10日に逮捕され、一時は保釈されたが、同年12月以降、5年余りにわたり勾留されている。その後、りんご日報は廃刊に追い込まれたが、黎被告は一貫してすべての罪状を否認している。
最近では、娘の黎采氏が寄稿し、父親の健康状態が悪化していると訴えた。爪の変色や脱落、歯の腐食が始まっているとし、獄中で「自由の象徴として命を落としかねない存在」になることへの強い懸念を示している。
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