カナダ下院保健委員会、「台湾のWHO参加支持」動議が全会一致で可決

2022/05/03 更新: 2022/05/06

カナダ国会の下院保健委員会は4月27日、台湾の世界保健機関(WHO)および世界保健機構総会(WHA)参加を支持する動議を全会一致で可決した。この動議は4月29日、下院本会議に提出された。

台湾は2009年から2016年までWHO総会にオブザーバー参加していた。しかし、中国共産党の掲げる台湾の自治権を容認しない「一つの中国」を拒否する蔡英文・民進党政権になった2017年以降から、中国に参加を妨害されている。

パンデミックを引き起こしたことで批判されている中国共産党とは対照に、台湾は新型コロナウイルス感染症への対応が模範的だと評されている。その結果、WHOへの加盟を求める台湾の要望は、多くの外交的な支持を集めるようになった。かねてよりカナダや日本、米国も参加支持を表明している。

台湾中央感染症指揮センターは2020年4月、武漢で肺炎患者の隔離治療が行われていると2019年12月末にWHOにメールで報告したが無視されていたことを明らかにした。これは、テドロスWHO事務局長が記者会見で「台湾から人種差別的な攻撃を受けている」との発言に対する反論とされる。台湾側はこのテドロス氏の発言を「事実無根」とした。

2020年5月に陳時中衛生相と 呉釗燮外相が発表した共同声明によれば「WHOは2350万人の台湾人の公衆衛生上の権利に無関心である」と非難した。また、「専門の国際保健機関としてWHOは全人類の健康と福祉に奉仕すべきであり、特定メンバーの政治的利益を特別視すべきではない」と訴えた。

アイルワードWHO事務局長補佐官は香港メディアRTHKに出演した際、台湾の新型コロナウイルス感染症対策について、意図的に回答を避けるような場面があり、中国に肩入れしているとの非難が強まった。

台湾の蔡英文総統もWHOへの加盟を訴え、「今回の感染拡大を経験した全ての国が台湾の能力と地域貢献を理解し、パンデミックへの世界的な対策に台湾が加わることを真剣に検討するよう希望する」と述べた。

カナダは台湾が世界保健機関(WHO)のオブザーバー資格を獲得を支持してきた。2020年5月、シャンパーニュ外相(当時)は、カナダが 「台湾の存在が公益に重要な貢献をもたらす国際的な多国間フォーラムへの有意義な参加」を支持すると表明した。

武田綾香