[東京 18日 ロイター] – 小林鷹之経済安保相は18日、東芝 など重要企業が外資に買収されるリスクについて、自由な企業活動を制限しないとする一方、安全保障上の懸念が生じれば外為法などにのっとって対応する考えを示した。
小林経済安保相はロイターとのインタビューで、東芝のように原子力発電所や防衛など基幹インフラに関わる企業は「非常に重要な会社であるとは認識している」と指摘。企業活動は自由だとしながらも、「安全保障上の懸念がある場合には、外為法を含めた日本の法令にのっとって適切に対応する」と述べた。
非上場化を含めた経営再建案を公募している東芝は今月13日、事業パートナーとなり得る投資家やスポンサー候補10社が名乗り出たと発表した。10社の名前は明らかにしていないものの、外資ファンドがかねてから東芝の非上場化に意欲を示している。
東芝は6月の定時株主総会前に提案内容を公表し、総会後にひとつまたは複数の提案について協議をさらに進める。検討に当たっては、提案価格や資金の調達方法に加え、外為法や競争法などの承認可能性なども評価する。
西側諸国が中国やロシアなどに技術が流出する懸念を強める中、日本政府も経済安全保障を強化。原子力や武器製造など重要技術を持つ企業に海外投資家が出資する場合、重点審査の対象となる。
さらに今月、半導体をはじめとした戦略的に重要な物資の供給網強化などを目指し、経済安全保障推進法を成立させた。企業活動を制限しかねないとの批判もある中、小林経済安保相は、海外から国内に投資を呼び込むことは必要だと説明。今月初めに岸田文雄首相が訪問先の英ロンドンの金融街で講演し、「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」呼び掛けたことに触れ、小林氏は「そこに尽きる」と語った。
その一方、外為法に限らず既存の制度をさらに強化していく可能性も示唆。「国際情勢や技術の革新は常に起こっているので、既存の制度が本当に十分なのかは不断に検証して見直していく必要があると思う」と述べた。
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