チェコは中国主導の中東欧16カ国との経済協力枠組「16+1」から離脱することを検討している。カタール国営メディア「アルジャジーラ」が8日伝えた。
報道によると、チェコ議会の外務委員会は5月中旬、離脱を求める決議案を満場一致で可決し、決議案を同国外務省と政府に送付した。対中強硬派のヤン・リパフスキー外相は離脱を支持している。
リパフスキー外相はアルジャジーラに宛てた声明で、「16+1」の下で両国間の経済・外交上の協力、大規模な投資、互恵的貿易に対する中国側の約束は「10年経った今も果たされていない」とし、同国の「16+1」への加盟を「再検討する必要がある」と示した。
中国が2012年に「16+1」枠組みの立ち上げを主導した後、中国と中東欧諸国の首脳はほぼ毎年会合を開催していた。2019年4月、ギリシアの加盟により「17+1」と名称変更した。21年5月、台湾問題を巡って中国との関係が悪化したリトアニアが離脱したことで、再び「16+1」となった。
「16+1」離脱でチェコが中国から政治的、経済的な報復措置を受ける可能性があることに対し、リパフスキー外相は「16+1枠組みに参加していたとき、対中貿易赤字は深刻だった。だから、チェコは失うものがほとんどない」と答えた。
報道によると、昨年11月にペトル・フィアラ中道右派政権が発足して以来、同政権はゼマン大統領の中露など東側に接近する路線を修正し、西側諸国との関係強化に努めてきた。今年2月のロシアのウクライナ侵攻から、同政権はこの動きをさらに加速させている。
リパフスキー外相は「チェコの現政権は中国との関係を見直し修正する」「16+1を巡る取組みはその一環だ」とした。
いっぽう、現在日本を訪問しているリトアニアのランズベルギス外相は7日、日経アジアのインタビューで、他の中東欧諸国に対し「16+1」から離脱するよう呼びかけた。
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