台湾副総統襲撃未遂事件 中国共産党外交官が黒幕 チェコで明るみに出た国際脅迫の実態

2025/06/30 更新: 2025/06/30

2024年3月、驚くべき国際事件が明るみに出た。台湾副総統・蕭美琴(しょう びきん)氏がチェコ訪問中に、襲撃未遂事件が発生した。2025年6月、チェコ当局は、これまでの捜査結果として、中国共産党の外交官が黒幕であると断定し、国際社会に衝撃が広がった。

台湾の副総統・蕭美琴氏は昨年、副総統選に勝利した後、就任前の2024年3月18日にチェコを訪問した。その滞在中、謎の乗用車が彼女を執拗に追跡し、交通事故を誘発しかねない危険な状況を作り出した。この事件は一年以上も不透明なまま放置されていたが、2025年6月26日、チェコの報道機関「iROZHLAS」がついに事件の全容を暴いた。追跡車両の運転者は、中国共産党が駐チェコ大使館に派遣した軍事部門所属の外交官であった。

チェコ軍事情報局のバルトフスキー局長は、この事案を単なる偶発的な事故とは認めず、中国共産党が周到に準備した情報工作の一環として実行した嫌がらせおよび脅迫行為と断定した。チェコの情報当局が掌握した情報によれば、中国共産党は蕭美琴氏の全行程を追跡し、意図的な危険運転を通じて、精神的圧力と身体的な危害を加える計画を進めていた。

この報道が出ると、台湾およびチェコ両国で強い反響が巻き起こった。台湾総統府の報道官・郭雅慧氏は当夜、声明を発表し、中国共産党によるこのような暴力的行為が国際規範を著しく踏みにじるものであると厳しく糾弾した。台湾の立法委員・陳冠廷氏も、国際社会が団結して、中国共産党の越境的脅迫を非難し、制裁措置を講じるべきだと訴えた。また彼は、この事件をチェコの主権に対する重大な侵害と位置づけ、中国共産党当局に対して、公開謝罪を求めた。

チェコと台湾の政府は、この問題を極めて重く受け止めており、国際社会もこれに呼応した。複数国の国会議員から構成される「対中政策に関する超党派議会連盟(IPAC)」は即座に声明を発表し、もしこの追跡が成功していれば、それは国家によるテロ行為に等しいと警告した。また、今回の攻撃が未遂に終わったにもかかわらず、中国共産党が政治的動機に基づいて、外国要人に対して、暴力的な脅迫を仕掛けたという事実自体が、すでに国際社会の容認可能な一線を超えていると断じた。

中国共産党の越境脅迫

中国共産党が国外でこの種のブラックオペレーションを実行する例は少なくない。カナダ安全情報局は、中国共産党がカナダの国会議員・莊文浩氏の政治的態度を変えさせるため、香港に住むその家族に圧力をかけたと明らかにした。アメリカ連邦捜査局(FBI)も、中国共産党が台湾支持派のアメリカ議員を中傷し、選挙干渉を試みている事実を繰り返し警告した。また、台湾総統に当選した頼清徳氏がオーストラリアで開催した祝賀晩餐会では、出席していたオーストラリア議員らが、中国共産党駐シドニー総領事館から脅迫メールを受け取った。中国共産党は、法輪功学習者、神韻芸術団、民主活動家に対しても、国境を越えた嫌がらせを強めている。

今回、チェコ当局が事件を公表し、中国共産党の浸透工作に対抗する意思を明確にした点は重要である。ヨーロッパ価値安全政策センターの所長ヤクブ・ヤンダ(Jakub Janda)氏は、このような行為が「ウィーン外交関係条約」に明確に違反しており、ヨーロッパ諸国の中でも極めて異常な事例であると指摘し、すべての民主国家が深刻に受け止めるべきだと警鐘を鳴らした。

台湾政府は今回の事件を機に、EUおよび他の民主国家と連携し、情報共有の強化、安全保障協力の深化、そして中国共産党による同様の行動を防ぐための国際的制裁メカニズムの構築を呼びかけた。

日増しに激化する中国共産党の越境的脅迫行為に対し、国際社会はどのように立ち向かうべきか。今こそ真剣な議論と対策が求められている。

唐青
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