中国国営新華社によると、習近平国家主席は中国軍トップの共産党中央軍事委員会主席として、戦争以外の軍事行動に関する指針『軍隊の非戦争軍事行動綱要(テスト版)』に署名した。今月15日から施行される。
新華社13日の報道は具体的な内容に触れなかった。ただ、指導部が綱要を策定した目的は、「緊急事態の対応」「国家主権、安全保障、開発発展の利益を守る」「世界平和と地域安定の維持」のためだという。
6章59条から構成される綱要は、「軍における戦争以外の軍事行動を組織し実施することを基準化し」、「部隊が戦争以外の軍事行動を遂行するために法的根拠を提供する」。
中国共産党は今年11月に5年に1度の党大会を開く予定だ。党大会で3期目続投を狙う習近平国家主席が突如、戦争以外の軍事行動に関する綱要を公布したことに注目が集まっている。
中国政府は「軍事的抑止、国際平和維持活動、テロ対策、密輸や麻薬対策、暴動鎮圧、災害救援、経済建設支援活動」を戦争以外の軍事行動の範囲内にあると定義。
中国ネット上では、同綱要を巡って「戦争行為があっても、戦争事実を認めないための根拠か」「中国の軍隊は外国からの軍事攻撃を防衛するだけでなく、国民を鎮圧し殺害できるということか」と批判されている。
また、綱要は実際には台湾侵攻を念頭に置いて策定されたとの声もある。今年2月、プーチン大統領がロシアの安全保障を守るために「特別軍事行動を実施する」と発表し、ウクライナに侵攻した。
中国は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)の閉幕にタイミングを合わせた形で綱要を発表した。中国の魏鳳和(ウェイ フォンホー)国務委員兼国防相は12日に同会合で演説し、「大胆にも台湾を(中国から)分裂させるなら、必ずや一戦をいとわず、代償を惜しまず徹底的に戦う」と米国などを威嚇した。
いっぽう、カナダ・ヨーク大学の沈栄欽副教授は同綱要について、「中国の長期的な軍事拡張計画の一部だ」との見方を示した。「台湾侵攻というよりも、海外での軍事演習、テロ対策などのための下準備の可能性が高い」と大紀元に語った。
台湾出身の沈氏は、「習近平氏はウクライナ情勢から教訓を得ているはずだ。今台湾に侵攻すれば、西側からの強烈な経済制裁に対応できないだろう。ただ、習氏が3期目続投において大きな困難に直面した場合は除く」とした。
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