米国と台湾は27日、双方の新たな貿易協議の枠組みとなる「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」第1回協議を開催した。米国にとって台湾は第10位の輸出市場であり、半導体の重要な輸入先だ。このイニシアチブは、台湾を含まない22カ国からなるインド太平洋経済枠組み(IPEF)がバイデン大統領から公表された後に明かされた。
会議では、米国側はサラ・ビアンキ通商代表部(USTR)次席代表、台湾側は鄧振中行政院政務委員が代表を務めた。「このイニシアチブは市場機会を開き、イノベーションを促進し、労働者や企業に包括的な経済成長を生み出すだろう」とビアンキ氏は声明で述べた。
双方が今月1日に発表した同イニシアチブの概略によれば、貿易円滑化や規制慣行、農業、反腐敗、非市場的政策・慣行など11分野で交渉を進めるという。いっぽう、関税協議は含まれない。
台湾外交部は、「米台イニシアチブに基づく経済連携を深めながら、引き続きアメリカが提唱するインド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加を目指しつつ、自由で開かれたインド太平洋地域の安定と繁栄を促進していきたい」との考えを示した。
半導体の世界的な供給不足は自動車から家電まで多くの機器の生産へのマイナス要因を与えるほか、軍需品の製造にも関わるため安全保障にも影響する。
IPEFへの台湾加盟はかなわなかったものの、52人の上院議員からなる超党派グループはIPEFへの台湾加盟を求め、さらに台湾との関係を深めるようバイデン大統領宛の書簡をしたためた。
書簡には、台湾はエレクトロニクス、コンピュータ、情報通信技術におけるグローバル供給の主要なハブであり、米国のサプライチェーンの多様化に重要な役割を果たしてきたと記す。「台湾をIPEFから除外することは、地域および世界の経済構造を大きく歪め、米国の経済的利益にも反する。中国政府からみれば『国際社会は台湾への関与を事実上支持していない』とのメッセージを送ることになる」と危惧を示した。
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