英国の孔子学院は「中国のプロパガンダ機関」=報告書

2022/10/15 更新: 2022/11/02

英国の大学に設置されている大半の孔子学院が「言語と文化」教育から逸脱し、政治的なロビー活動や技術提携の促進を行なっていることが、英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ」の報告書で明らかになった。「孔子学院ほど、英国社会に深く浸透している中国国家組織はない」と警鐘を鳴らした。

孔子学院は中国政府が出資し、世界160の国と地域で500カ所以上設置されている。近年は中国共産党の国際的な影響力拡大を手伝う組織として警戒され、欧米では閉鎖が相次ぐ。日本では、早稲田大学や立命館大学など14の私立大学に設置されている。

ヘンリー・ジャクソン・ソサエティの報告書によると、英国にある30校の孔子学院のうち、本来の中国文化教育に専念しているのは4校のみだった。大半は、プロパガンダの拡散や英国における中国理解に影響を及ぼすことなどに従事していたという。

具体的には、政府の政策や政治家への情報提供、科学技術パートナーシップの仲介、企業へのコンサルティングサービスのほか、中国共産党の統一戦線工作部と協力する英国の組織とも連携していた。

また、8校については、統一戦線工作部や中央宣伝部とのつながりのほか、英国の政治家や政治活動への資金提供、英中大学間の科学的パートナーシップの確立への関与などが確認されたという。

新疆や台湾には触れない「教育」

孔子学院が主催するセミナーやイベントでは、中国共産党の弾圧対象となっているウイグル人やチベット人、その歴史的領土に関連する発言は「ほんのわずか」だという。こうした情報を制限する行動も、孔子学院が中国共産党のプロパガンダ機関だということを示していると、報告書は指摘する。

また、中国が軍事的な圧力を常態化させている台湾や、統制を強める香港、その苦境などについての情報提供も「基本的に皆無だ」と付け加えた。

孔子学院は「中国共産党と(学院が設置された英国)大学との統合を支援」する役割を担うという。党との統合で得られた対中理解から、大学に関わるすべての人々の意思決定や戦略形成に影響をもたらすことを目的としているという。

中国が管理する雇用プロセス、違法の可能性も

中国からの孔子学院スタッフの採用は、中国国内の関係者によって行われ、政治的、民族的な審査が行われる。こうした雇用プロセスは、人種や宗教・信条に関する英国の法律に違反している可能性があると報告書は指摘する。また、英国の平等監視委員会に緊急調査を行うよう求めている。

2013年には、カナダのマクマスター大学が孔子学院の雇用プロセスを理由に、世界で初めて同学院との契約破棄を決定した。

教師に対して特定の信条を禁止する孔子学院の規定は、カナダが保障する思想の自由への侵害にあたるとして、同学院の元教師で法輪功学習者のソニア・ジャオ氏が2011年、人権裁判所に異議申し立てを行ったことがきっかけだった。

米国とカナダの大学教員協会は同年、中国政府が補助・監督しているとして、孔子学院との契約を破棄するよう求める決議を採択している。

台湾と新しい文化プログラムの提携を

著者らは、外国勢力との教育・学術提携を規定する協定に、言論の自由を保護し、平等法の順守を確保するための条項を盛り込むことを要求する法律を制定するよう呼びかけている。

また、英国が主要な世界言語の教育を中国のような権威主義国家に依存することによって「自国の高等教育部門を危険にさらすべき正当な理由はない」とし、台湾など他の中国語圏の国と協力して新しいプログラムを開発し始めるべきだと推奨した。

英国では、英保守党首選で当時のトラス外相と決選投票へ進出したスナク前財務相が英国のすべての孔子学院の閉鎖を求めるなど、その深刻な脅威に言及した。スウェーデンは2020年4月に唯一残っていた孔子学院の閉鎖を発表するなど、欧米を中心に孔子学院の閉鎖が相次いでいる。

(翻訳編集・山中蓮夏)

Lily Zhou
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