コロナ緩和後さっそく…中国地方政府、日本など各国に「営業団」派遣

2022/12/20 更新: 2023/01/02

経済の冷え込みと白紙革命の圧力を受け、中国共産党は厳格なゼロコロナ政策を緩和し始めている。財政難に苦しむ地方政府は外国投資を呼び込もうとこぞって海外訪問団を送り出し、投資契約獲得に向けた動きを活発化させている。目的地として日本が特に「人気」との報道もある。

地方政府、チャーター機で訪問団を送り出す

近日、浙江省、江蘇省、広東省、四川省など多くの地方政府部門が、投資誘致や営業契約を目的とした「代表団」を組織し、海外に相次ぎ派遣させている。

中国メディアの南方財経によると、海外企業誘致を目的とする訪問団にとって、ドイツ、日本、韓国は重要な目的地だという。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東諸国に訪問するケースもある。

21世紀経済報道によれば、海南省の訪日営業団は当局の用意したチャーター機を使い、11月末から12月中旬にかけて、東京や福岡、大阪で投資説明会を開いた。一団は三菱商事や丸紅、三井物産など大手商社とも交流機会を設けたという。

11月中旬には、蘇州当局の経済貿易担当者からなる代表団が3年ぶりに訪日。中国貿易促進会駐日本代表処や日中経済貿易センター、みずほ銀行などと投資政策、ビジネス環境について意見交換した。

外資がなければ回らない

中国問題評論家の王赫氏は大紀元の取材に対して、中国経済は外資に依存しており、輸出は主に民間企業や外資系企業に依存していると指摘した。国内経済の成長を目指す「内循環」を重視しているが、10月の第20代党大会以降も国内投資は乏しい。

過去3年間、中国共産党の厳しいゼロコロナ政策により外資の流出は加速し、多くの企業が倒産した。公式データによると、第3四半期のGDP成長率は3%で、予定された5.5%の目標からはほど遠い結果となった。

「海外訪問団の出国は、中国市場がすでに外資を惹きつける魅力を失っていることを示す。企業を海外に派遣しなければ外資を誘致できない状況に陥っている」。中国経済学者の司令氏は米メディア、ラジオフリーアジアの取材で語った。

「多くの企業派遣は海外営業の成果を謳っているが、どれほど契約を取り付けられたかは甚だ疑問だ」と続けた。

さらに司令氏は、中国企業による技術窃盗や会計不正などが明白になっている今、進んで協力しようという考えを持つ国は少ないだろうと指摘した。

念願のRCEP、現実は儚い

一連の海外訪問団をめぐる報道において、中国メディアは、2022年1月に発行した日中韓やASEANを含む国際通商枠組みRCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定について多数言及している。日中両国が同一の貿易協定に加盟するのは初であり、多くの輸出入品目の関税が段階的に撤廃される予定だ。

中国がRCEPを推進する背景には、外貨獲得を目指す当局の後押しがある。12月6日、中国共産党政治局会議は「より強力に外資を誘致し利用する」ことを要求。特に地方行政と企業が積極的な行動をとるよう求めた。チャーター機が海外に飛び始めたのは、この発表の前後だ。

中国当局の期待とは裏腹に、外国企業の撤退は大きな潮流となっている。ゼロコロナ政策真っ只中の7月に行われた調査では、中国に進出する日本企業はすでに過去10年間で最低水準となり、ロックダウンが実施された上海では 200 社超が撤退していることがわかった。

調査を行った帝国データバンクは、中国の社会主義的政策の影響で日本企業は「サプライチェーンの寸断に直面。拠点を中国に集中させることのリスクが露呈し、政府も生産拠点の国内整備を後押しするなど、中国への“脱依存”に向けた新たな局面を迎えている」と分析を示した。

中国共産党への警戒心緩まず

豪州在住の法学者・袁紅氷氏は大紀元に対し、中国共産党が感染症対策を解除しても、経済を挽回することはできないと述べた。習近平体制は改革開放に逆行し、毛沢東のような社会主義に回帰していると指摘。一連の「海外訪問」は、現在の経済危機に対処するための緊急措置であり、長期的な成功は不可能だと述べた。

衆議院議員の櫻田義孝氏は16日、大紀元の取材に対し、中国共産党は力によって海外にもその影響力を及ぼそうとしていると述べた。そして「日本は十分気をつけて、心して中国と付き合わなければならないと思う」と警鐘を鳴らした。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。