[ダボス(スイス) 16日 ロイター] – 16日に開幕した世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に合わせて公表されたエコノミストや企業トップを対象にした調査で、世界経済の先行きに悲観的な見方が強まっていることが示された。
国際通貨基金(IMF)や投資銀行、多国籍企業などのエコノミストを対象に実施したWEFの調査によると、回答者の3分の2が2023年に世界的な景気後退(リセッション)に陥る可能性を想定していることが分かった。世界的な景気後退の公算が「極めて大きい」という回答は約18%で、22年9月に実施された前回調査の2倍超となった。
WEFのマネジングディレクター、サーディア・ザヒディ氏は「現在の高インフレや低成長、高債務、分断化が進む環境は、成長回復や世界で最も脆弱な人々の生活水準引き上げに必要な投資のインセンティブを低下させている」と指摘した。
また、会計監査大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が実施した調査では、世界のCEOの73%が今後12カ月で世界経済成長の伸びが鈍化すると予想していることが分かった。CEOの先行き見通しは、インフレ高進やマクロ経済を巡るボラティリティー、地政学的な緊張が重しとなり、21、22年の楽観的見方から後退した。
物価上昇については、今年の高インフレを見込む向きは中国で5%にとどまる半面、エネルギー価格高騰の影響に直面している欧州では57%と大きな開きがあった。
さらに、大半のエコノミストが欧米で一段の金融引き締めを予想していることも分かった。
CEOの先行き見通しは07─08年の世界金融危機以降で最も悲観的な内容となった。ただ、大半のCEOは今後1年間人員削減は計画していないと回答。有能な人材を確保するために給与削減も考えていないとした。
ボブ・モリッツグローバル会長は、企業は人的資本の変更や大規模人員削減をせずにコストを削減しようとしていると説明した。
ダボス会議の参加者の間では、ウクライナ戦争がどの程度続くかや主要中銀の今後の政策などが見通せないことが懸念事項となっている。
ある米国上場企業のCEOは、景気の先行き不透明感を踏まえ23年にはあらゆるシナリオを想定していると語った。
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