感染を容認しない「ゼロコロナ」政策を突如として解き、国境封鎖も解除して、流行拡大をいとわず国内外の人の流れを進める中国共産党。北京の決定で数億人と巨額資金が動くために世界政経も少なくない影響を被る。朝令暮改の政策転換は日本を含む世界各国に、チャイナリスクをあらためて顕現させた。
日本は、こうした中国共産党との政治経済活動に積極的な交流を維持している国でもある。首相経験のある政治家が中国大使館や領事館とのイベントに頻繁に出席し、友好関係の推進を図っている。中国共産党が政策的に技術移転を行っているにもかかわらず、自動車メーカーや金融機関は継続して中国に投資している。
こうしたなか、中国時事評論家で詩人の唐浩氏は大紀元日本に寄稿文を寄せ、日本にとっての「中共対処法」を提案した。中国共産党のイデオロギーや台湾事情に明るい唐氏は、親中共派の政治家に「決然たる票をもって拒否すべき」とし、中国に距離の近い企業には「ノーを突きつけて」と語った。次段落から同氏の論説となる。
毛沢東理論で挑んでくる
日本は安倍晋三元首相の任期中、米国と共に「中国の軍拡と国際競争に対抗する」方向へと明確にシフトした。さらに岸田政権が昨年12月、国家安全保障戦略など「安保関連3文書」を閣議決定したことは、中共に極めて大きなプレッシャーを与えた。
日本の防衛力強化は中国の台湾侵略の進行プロセスに新たな変数をもたらすだけでなく、太平洋への拡張や米中間の国際覇権争いの妨げにもなるからだ。
日本に対応するため、中国共産党はどのような戦略をとるだろうか。
実は彼らの戦略的論理は、毛沢東の「左派を拡大し、右派を攻撃し、中立派を取り込む」という闘争理論から抜け出せない。つまり、日本における親中派陣営を拡大させ、反中保守派や伝統的な組織を弱体化させる。そして政治的立場がはっきりしない中立的な有権者から支持を得られるようにし、左派(中共側)へと傾くよう取り込むのだ。
具体的には、経済・ビジネス戦、軍事圧力、世論・認知戦の3つの手段を使うだろう。
まず利益の取引や金銭による買収で、日本社会の親中共陣営を固めていく。中国と親しくなりたい政治家やビジネス関係者をより多く引き込むことで「左派」勢力の拡大を図る。
日本の反中共陣営、右派への「文攻武嚇」(言葉で攻撃、武力で威嚇)を続ける。中国とロシアの軍事演習と軍艦、軍用機を接近させて迂回させて、衝突がいつ訪れてもおかしくない恐怖を作り出す。政治家を圧迫して、日本世論の中で軍事衝突に対する恐怖と厭戦ムードを広げるだろう。
もし武力威嚇で日本が動じないようならば、弟分の北朝鮮に再びミサイル発射するよう指示する可能性が高い。ミサイルを日本近海に着弾させたり日本領土上空を通過させることで、より大きな社会的恐怖や世論の圧力を生み出して日本政府に圧力をかける。
日本が「北朝鮮のミサイルによる脅威をやめさせてほしい」と中国に協力を求めざるを得ない状況を作り出すのだ。この場合、中国側は日本に交渉を持ちかけて「防衛力強化の中止」のための外交カードを手にする。
さらに、親中共の政財界人やそのシンパとなるメディアに対して、いわゆる「平和」「戦争反対」の言論を広めさせる。例えば「日本政府の防衛力強化は中国や北朝鮮をひどく怒らせ、日中、日朝間の緊張を高め軍事的衝突を誘発しかねない」「平和と安定のために日本政府は『自制』『矛を納めよ』」などといったことを呼びかける。
しかし実際には、これらの主張は因果関係を逆転させ、概念をすり替えたものだ。事実は、中国共産党と北朝鮮が絶えず軍事力を増強させ、対外拡張の野心を示している。このため周辺国家は領土や国民を守るために国防力を強化せざるを得なくなったのだ。
このほか、中国共産党は「民主、人権、自由、平和」といった普遍的価値や政治的に正しい事の概念をすり換えることを得意とする。美しい看板を掲げることで中国共産党は拡張の野望を覆い隠すのだ。
この手法は長年にわたって台湾で実験・運用され、一定の成果を上げている。例えば、中国共産党は現在、台湾で共産党寄りのメディアや政治家を用意して「平和」「反戦」のスローガンを掲げ、台湾人に「中国共産党に反対することは平和を破壊する」、「防衛力強化は中国共産党を刺激してしまう、戦争を招きかねない」といった話を広げた。
こうした概念のすり換えや世論戦、認知戦は、昨年末の台湾地方選挙に影響をもたらした。中国共産党はこの手法を引き続き台湾のみならず日本に対しても使う可能性が高い。
日本にも今後いわゆる「平和を求める、戦争を望まない」「安定を求める、衝突を望まない」と訴える運動家や世論が現れるだろう。中国による対外侵略を擁護し、その結果と責任を日本政府に負わせることが目的だ。
今の日本社会には「日中交流会」や「日中友好イベント」などが増えている。主催側の言論を観察してみれば、その背後には中国共産党や外郭団体、中国企業とつながりのある場合がほとんどだ。その目的は、前出の毛沢東理論でいう「左派の拡大」と「中立派を取り込む」に相当する。
また、中国共産党が台湾で長年使ってきたビジネスを利用した策略も日本に使うだろう。日本の企業や商業界は「日中友好イベント」のターゲットだ。いわゆる「市場のチャンス」や金銭的利益によって日本企業を引き込み、対中依存を形成させる。そして、ますます中国共産党のイデオロギーや立場に同化させたり、党の指示に服従せざるを得ないように制御する。次に日本企業を操って日本政府に圧力をかけるだろう。
これは「商を以て政を迫れ、民を以て官を迫れ」という手法だ。まず敵側の民間の経済力を自分たちに依存させて、それからこの力をコントロールして敵陣営に反撃し、敵の屈服、降伏を迫る。
日本が中国共産党の認知戦や統一戦線を打破するには、どうすればいいだろうか。
まず日本政府は中国共産党の本質を国民がより全面的に認識できるように支援すべきだ。中国共産党は普通の政府ではない。政府の姿を装った暴力団組織だ。信用や道徳、義理もない。8000万人を超える中国人の非自然死をもたらしただけでなく、現在も大勢の中国人が疫病で命を失っているがこれを放置している。日本政府は、中国共産党のいかなる約束や保証も決して信用しないでほしい。
そして中国共産党の世論戦と宣伝戦について、日本の民衆ははっきりと理解してほしい。これらは表向きには堂々として体裁がよく、一見政治的に正しく見える。しかし、少し時間をかけて検証してみると正誤の歪曲や論理の反転ばかりであることに気づくと思う。全体を見渡せば、この歪曲とミスリードを看破するのは容易なことだ。
中国共産党の脅威、北朝鮮との相互利用を見てとる日本国民は、頑として、党に追随したり統一戦線を助けたりする政治家に対して、決然たる票をもって拒否してほしい。そして消費者は、中国共産党に友好的すぎる企業に対しては「ノー」を突きるべきだ。日本国民の理知と愛国心が政商界にはっきりと示されれば、外部の力が操ったり揺さぶったりすることもできなくなるだろう。
(翻訳・李凌/編集・佐渡道世)
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