人工知能を使った対話型チャットツールの「ChatGPT」が、米国で最も権威あるビジネススクールの1つとされるペンシルバニア大学ウォートン校の経営学修士課程(MBA)の試験に合格したことが研究論文により明らかになった。
昨年11月に一般公開されたChatGPTは、対話式の言語モデルを採用した最新のAIシステムだが、偽情報の拡散や学生によるカンニングなどの不正行為に使われるのではないかと懸念する声が上がっている。
研究論文を発表したクリスティアン・タービーシュ教授によると、ChatGPTは試験で「B」または「B−」の評価を獲得した。ChatGPTは「アナリスト、マネージャー、コンサルタントなどMBA取得者が就く職種のスキルの一部を自動化する驚くべき能力を示した」ほか、「ソフトウェアのコードを書いたり、法律文書を作成したりといった専門的な作業を行う能力も実証した」という。
一方、小学6年生レベルの計算問題で「驚くようなミスを沢山していた」とも指摘した。ChatGPTは受け取ったヒントに応じて答えを修正することができるが「高度なプロセス分析の問題を処理することはできない」と述べた。
タービーシュ氏は、AIの普及に伴う人間の計算・学力低下にも言及した。
「電卓やその他の電子機器が登場する前は、多くの企業では何百人もの従業員を雇い計算を手作業で行っていた。しかし、現在ではそのような作業は自動化され、その技能の価値は劇的に低下している。同じように、MBAプログラムで教えるスキルが自動化された場合、MBA教育の価値が下がる可能性がある」
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