2月17日、午前5時の中国北京は氷点下2度まで冷え込んだ。
まだ暗いその時刻に、北京市にある国家信訪局(陳情局)の前で撮られた1枚の写真が心に突き刺さった。
写真の中にあったのは、人の列のそばで、手袋もせずに幼い子を抱いて、道端に座り続ける女性の姿であった。
別のツイッターアカウントも、同じ場面について動画付きで伝えていた。ここにいる人たちは、いずれも河南省からはるばる北京へ陳情をしにきた庶民である。
庶民の預金を「凍結」した人民政府
添えられている中国語を翻訳すると、以下の通りである。
「2022年4月18日までは、彼らは河南省の地方銀行のごく普通の預金者だった。しかし今では、体の弱い3歳の子供を背負い、重い荷物を持って、真冬の寒風にさらされながら、明け方3時に信訪局の門前に並び(預金が戻ってくるよう)祈っている…彼らの合法的な預金は河南省人民政府に差し押さえられ、もうすぐ1年になる。多くの家庭が生活難に直面している…」
投稿の下には「ほかに道があるのなら、体の弱い幼児を連れて、陳情するため明け方から政府機関前に並ぶものか」など、怒りのコメントが寄せられた。
もうすぐ1年、しかし問題は解決されない
河南省と安徽省の6つの銀行は昨年4月中旬以降、顧客の全預金を凍結した。被害規模は400億元(約8172億円)。約40万人に影響を及ぼしている。
この問題をめぐり同年7月10日、全国各地から3000人が河南省鄭州市に集まり、抗議活動を行った。
地元当局は鎮圧に乗り出し、抗議者の大半を逮捕して、事前に用意した大型バス約40台に押し込んだ。逮捕された具体的な人数はわかっていない。中国政府は、抗議者が外出できないように妨害活動も行ってきた。
当時、中国のSNS上で拡散された抗議現場とみられる動画の中には(当局が手配したらしい)男たちが、こん棒を振るい、妊婦や体の不自由な抗議者にも無差別に暴行している場面があった。
中国のネット上では現在、この件に関する投稿は検閲されている。
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