米上院の超党派議員は15日、中国のスパイ気球が米国を横断したことを受けて、全国で高高度気球の追跡を強化する法案を発表した。
法案はテッド・バッド議員とマーク・ケリー議員が提出した。米軍が潜在的な脅威を区別するために、海抜1万フィートで活動するすべての高高度気球に、気球の高度、識別情報、位置を送信する追跡システムを搭載することを連邦航空局に義務付ける。
また、連邦航空局が国際民間航空機関(ICAO)と協力して、世界の各地で打ち上げられる高高度気球に同等の基準を策定することを求める。
元米海軍パイロットで米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士でもあるケリー氏は声明で中国共産党という「敵対国家が監視戦術を使うなか、米領空内の物体が脅威なのか、観測用なのか、それとも科学実験用なのかと迷う理由などない」と強調。「法案は軍に脅威をより迅速かつ効率的に特定するために必要なツールを与える」と述べた。
バッド氏も米国が中国共産党のスパイ気球の撃墜したことにより、「米国の空域を飛行する物体を追跡する手段を見直す必要性を浮き彫りにした。これは空域の安全を維持するためだけでなく、国家安全保障の問題でもある」と指摘した。
中国スパイ気球は1月下旬から米国の上空を飛行し、2月4日にサウスカロライナ州沖で米軍戦闘機がミサイルで撃墜した。米国は爆発物処理班所属の海兵隊員が回収し、残骸の分析を進めている。
米上下両院では先月、中国スパイ気球は米国の主権に対する「明白な侵害」だと非難する決議案を全会一致で可決。マイケル・マッコール下院外交委員長は決議案を提出した際、「中国による情報収集は、米国の利益と安全保障に対する脅威だ」と言明した。
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