2024年米大統領選の共和党候補指名を争う元国連大使のニッキー・ヘイリー氏は27日、「中国共産党政権は台湾、米国との戦争の準備をしている」と警告した。また、前・現政権の外交実績を非難し、対中アプローチの 「根本的な転換 」を呼びかけた。
ヘイリー氏は、シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所」で講演し、中国を「最大の敵」と位置付けた。「中国共産党の最終目的は明確だ。中国は戦争の準備をしている」と述べ、日本や豪州などと防衛面での連携を深め、増大する中国の脅威に対抗する必要があると断じた。
中国の習近平国家主席は先月、「極端なシナリオや状況」に備えるよう国民に促した。中央情報局(CIA)のバーンズ長官も2月に、習氏が2027年までに台湾侵攻の準備を行うよう軍に指示しているとの見方を示した。両国間の緊張が一層高まるなか、対中政策も大統領選の論点になりつつある。
ヘイリー氏は中国共産党が台湾や米国、その同盟国に対して、積極的な軍事的威嚇を展開していることにも言及し、「共産主義独裁政権が軍事的、経済的に米国を打ち負かし、勢力を拡大しようとする意図的な行動だ」と非難した。
中国軍を構築する米国貿易
ヘイリー氏は、中国共産党による台湾侵攻を抑止するために、米国はあらゆる領域で中国と対峙する必要があると述べた。
「台湾は中国共産党の最も差し迫った標的だ。中国が侵攻すれば、誰も望まない戦争が引き起こされる。それを許すわけにはいかない」
一方で、中国とのビジネスを維持し続けてきたことが、こうした緊迫状態を助長したと指摘。「中国共産党は、自国の軍事力を強化するために米国企業を利用している」と強調した。
中国は軍事的近代化を強化するために民間で開発された技術を軍事転用する「軍民融合」を国家戦略としている。軍工集団に名を連ねる企業などへの部品輸出により、米国の技術が中国の軍事力や経済力を強化してきたと指摘した。
また、中国が民主的な国になると期待し、ビジネスをしたことで「米国の影響力を低下させ、今や中国共産党政権が米国に取って代わろうとしている」と危機感をあらわにした。ヘイリー氏は、大統領に就任すれば中国との正常な貿易関係を破棄するとしている。
「平和を守り、戦争を防ぐために、私たちは今行動しなければならない。私たちは、あらゆる面でこの脅威に立ち向かうため、国民を結集させるリーダーが必要だ」
トランプ政権は対中政策に失敗
サウスカロライナ州知事も務めたことのあるヘイリー氏は、バイデン政権とトランプ前政権は、中国共産党の脅威に対抗するための十分な対策を講じることができなかったと指摘した。
ブリンケン国務長官が今月中国を訪問したことを挙げ、「中国の更なる威嚇を招く」と非難。訪問は国際舞台で中国をより強力に見せる以外に何も達成できなかったと述べた。
トランプ氏についても、米中貿易摩擦に注力すること以外には「ほとんど対応してこなかった」と指摘。アジアにおける米軍の強化や中国への技術移転の阻止に努めなかったことで、米国は必要以上に弱い立場にあったとあげつらった。
さらに、トランプ氏が中国建国70周年を迎えた中国に祝辞を述べたことで「道徳的な弱さ」を見せたと非難した。
「それは世界に間違ったメッセージを送った。中国共産党は非難されるべきであり、決して祝福されてはならない」
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