新型コロナ経済対策の終了にインフレが重なったことで、米国では十分な食事をとれない人が急増している。
米国勢調査局が6月7日から19日にかけて実施した食料不安に関する調査報告書によると、2650万人以上の米国人が過去7日間に「食べるのに十分でないことがある」または「食べるのに十分でないことが多い」と回答した。
6月に十分な食事をとれていないと回答した米国人の数は、先月の調査から4.33%、2022年6月の調査から11.8%増加した。
政府は新型コロナのパンデミックの間、貧困層が安価または無料で食料を入手できるようにするため、一時的な学校給食費の免除措置や低所得者向けの食料費補助対策「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」などを実施してきた。
ところが、こうしたコロナ経済対策の終了に加え、インフレによる食料品価格の上昇が重なったことで、問題があらためて深刻化している。
労働統計局のデータによると、年率換算した食品セクターのインフレ率は2021年11月以降、すべての月で一貫して6%を上回っている。バイデン氏が大統領に就任した2021年1月の食品インフレ率はわずか3.8%だった。
「食事を抜く」
低所得者向けの金融サービスを提供するプロペルが行った調査によると、6月に食料不安を訴えた人はSNAPが適応されていた期間よりも増加しており、「食事の量を減らした」と回答した人は約5割、「食料配給所を訪れた」と答えた人は約3割に上った。
また、約3割が調査前の過去30日間に食事を抜いたり、食料を買うのに家族や友人に頼らなければならなかったと回答した。
調査対象となったジョージア州のビバリーさんは「食費がない。子供たちは祖父母の家で食べ、私は働いているレストランで食事を取るようにしている。子供たちに食べさせるために、間違えて注文された食事を職場から持ち帰ることに頼っている」と述べた。
食品の寄付
米国環境保護庁(EPA)の食料廃棄物解決策「フード・リカバリー・ヒエラルキー(Food Recovery Hierarchy)」は、余った食品を炊き出し所やフードバンク、シェルターに寄付することを重視している。
EPAは、食品小売、食品サービス、住宅などから出た2019年の廃棄食品は約6600万トンと推定している。その多くは「まだ食べられる食品である」という。
「私たちは、手つかずの新鮮な食品を集め、それを必要としている人に寄付することで、地域社会のリーダーになることができる。食品を寄付することで、人々に食料を供給し、地域社会を支援し、その食品を生産するために費やされたすべての資源を無駄にせずに済む」と強調した。
食品を寄付する企業は、税制上の優遇措置を受けることもできる。EPAは、食品寄付の受け入れに関心のありそうな炊き出し所、フードバンク、食料配給所、避難所を見つけるために利用できる情報をリストアップしている。
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