携帯の電波を遮断し、情報封鎖する当局 現地ボランティア「数百の遺体発見」か=北京 

2023/08/03 更新: 2023/08/03

7月29日から続いた豪雨の影響で、北京市・天津市・河北省の広い範囲にわたり、各地で大規模な水害が発生している。そのようななか、北京当局は、災害現場の実態が外部に漏れないよう、市民の携帯電話の通信電波を遮断するなどして、情報封鎖に躍起になっているとみられる。

ここ最近、一連の台風や低気圧の影響で、豪雨への警戒が最高レベルで続く中国北部では、各地で洪水や土砂崩れが発生した。官製メディアは「これまでに少なくとも20人が死亡」と伝えている。

しかし、洪水が引いた北京市北西部の門頭溝区で救援活動に携わるボランティアスタッフは「我われの救援チームだけで、これまでに200体以上の遺体を発見している。このうち3人は児童で、最年少は4歳だった」とする衝撃的な実態をSNSに投稿した。

さらに、このボランティアスタッフは「門頭溝区の当局は、市民が携帯電話などを使って災害現場をライブ配信したり、動画を拡散したりするのを防ぐために、通信電波を遮断している」ことも明らかにした。

危機的状況つづく河北省・涿州

河北省保定市の県級市の一つである涿州市は、すでに2日間浸水している。7月31日より「事前通告なし」で行われたダム放水によって、多くの住民が避難することができず、数メートルの高さまで水没した家屋の窓枠にしがみついて夜を明かすなど、極めて過酷な状況に置かれている。

8月2日の時点でも依然として水位は高く、最も深いところではまだ4メートル以上もある。村や工場、学校などに残された大勢の市民は、水も電気もなく、食料も届かない。非常に危機的な状況にあるが、救援は全く遅れている模様だ。

8月2日、赤いハンカチを振って救援を求める、河北省涿州市の市民。(STR/AFP via Getty Images)

ある市民は「110番をはじめ、思いつく限りの番号に電話にかけたが、つながらない。たとえつながっても、相手はただ情報を登録するだけで、誰も助けに来てはくれない」と涙ながらに訴えた。

「許可証」がないため、民間救助隊が入れない?

ある民間の救援隊は「我われがもつ既存の救命ボートなどの救助用具は、すでにひどく損傷している。政府からの救助の手は、差し伸べられていない。外地から被災地へ向かう救援隊や救助物資も『正式な要請書がない』という理由で、地元政府がそれを受け入れていないため、高速道路で立ち往生している」と、救助の遅れを訴えている。

中国紙「南方週末」1日付も、涿州へ向かおうとする複数の外地の民間救援隊は存在するが、現地当局が出す「要請書(許可証)」がないため、被災地に入れないと報じている。

北京市は、北京中心部を守るために先月末(7月31日)からダム放水を開始した。8月2日時点になっても、依然として8つのダムが河北省などに向けて放水し続けている。

この影響で、ただでさえ甚大な被害を受けている河北省などの状況がさらに悪化することも懸念される。実際、家屋の屋根まで水に浸かっている河北省の一部の村とは、いまだに連絡が取れない状態にある。

現在、主な降雨帯は中国の東北地方に移動しているが、北京や河北省に影響を与える恐れのある豪雨は4日まで続くと予想されている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
関連特集: 中国