中国共産党(中共)が最近公開した経済データは不振なものだった。その結果、人民元が大きく下落した。8月9日には、オンショアの人民元対米ドルの為替レートが7.1989まで下落している。
これは中国の銀行が米ドル売り、人民元買いを行なったためだと指摘されている。
専門家は、人民元の継続的な下落には2つの要因があると考えている。中央銀行の金融緩和策は効果的ではないことと、根本的な改革を実現できていないことである。
国有の大手銀行がドル売り ディーラー 元安ペースの鈍化を図る
「ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」は8日に、北京時間16:30までの中国外貨取引センターのデータによると、オンショア人民元は1米ドル=7.1989元で、前日の公式終値7.2133元から144ポイント上昇し、0.20%上昇したと報じた。
オフショア人民元は1米ドル=7.2127元で、0.34%上昇し、最低で7.2442元だった。
9日の朝、中国の国有銀行が9日に元安阻止のためオフショアのスポット市場でドル売り、元買いを行ったとロイターがディーラーなど関係者4人の情報を引用し伝えた。
「香港経済日報」によると、人民元対米ドルの基準レートは23ポイント下げて7.1588となり、4週間の新たな低水準を記録した。これはロイターの予測よりも600ポイント以上高い数値で、監督機関が「安定」を維持するという意向を示している。
弱い経済データ、大幅な人民元安を招く
国有銀行がドル売り元買いを行う理由について、米国のエコノミスト黄大衛(Davy J.Wong)氏は9日、エポックタイムズに、主な原因は7月の経済データが非常に悲観的だったからだと指摘した。
中共統計局が9日に公表したデータによると、7月の消費者物価指数(CPI)は前年比で0.3%減少し、2年半以来で初めてマイナスに転じた。生産者物価指数(PPI)は前年比で4.4%下落し、10か月連続減少となった。
海関総署が8日に公開した7月の貿易統計によると、輸出は前年比14.5%減少、輸入は同12.4%減少した。いずれも予想を上回る減少だった。
黄氏は、CPI、PPIなどが下落し、特に輸出は2020年2月以降で最大の減少となったと指摘した。
7日、オンショアの人民元レートは7.21台を下回った。オフショアレートは7.23を下回り、一時7.2314まで下落した。
黄大衛氏は、「国際市場は、北京が厳しい封鎖措置を解除した後に経済が回復することを期待してきた。しかし、現在の状況から見ると、その期待は次第に遠のいている」と述べた。
また、「全体的に、経済のネガティブな情報は人民元の為替レートに下向きの圧力を与えている。そのため、中央銀行は国有銀行に元買いを指示して、人民元の為替レートを安定させ、国際投資家の信頼を維持することを目指している」と同氏は指摘した。
彼はこのように分析している。
「通常、人民元の為替レートは、国の輸出入データや経済データと密接に関連しており、特にその国の経済の活力、経済の回復、経済の発展の見通しと密接に関連している。
しかし、現在の状況は、2020年コロナが初めて爆発した時よりも悲観的だ。そのため、人民元の為替レートには非常に高いプレッシャーがかかっている」
専門家:人民元安に2つの要因 根本的な変化が必要
人民元の対米ドル為替レートは今年に入って3%以上下落し、アジアで最もパフォーマンスの悪い通貨の1つとなった。 オンショア人民元/米ドルレートは7.2元台を何度も下回った。
経済問題を中心に扱っているユーチューバー、「財経冷眼」は「将来、人民元安が更に深刻化する可能性がある」と述べ、その主な原因は2つあると考えている。
1つは対外貿易であり、もう一つは不動産バブルの崩壊である。
「中国の不動産バブルは急速に崩壊しており、資産バブル全体も崩壊している。資本は中国から撤退し、人民元をドルに両替している。 このような背景の下で、米ドルは人民元に対して上昇している」
黄大衛氏は、今後、中国の国際貿易や国際関係を根本的に変えない限り、単に中央銀行が通貨供給を増やしただけでは、現在の状況を変えることはできないと考えている。
同氏は、現在の中国の景気回復は、国際関係や国際貿易の改善によるものが多いと指摘している。同時に、民間企業の活力が持続的に支援されるかどうかは、更なる政策によって判断される。
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