中国の恒大集団による債務不履行が世界市場に激震を与えてから2年も経たないうちに、中国不動産最大手「碧桂園(カントリー・ガーデン・ホールディングス)」の株価が暴落し、また中国の不動産セクターと経済全体に衝撃が走った。
元々中国最大のデベロッパーであり、現在でも恒大集団を上回る規模を持つ不動産デベロッパー碧桂園の株価は、8月11日朝、香港証券取引所で5.8%急落して0.98香港ドル(約18.17円)となり、初めて1香港ドル(約18.54円)を割り込んだ。
碧桂園は事業が厳しくなり、流動性問題に悩まされた結果、1月のピークから70%以上下落し、同期間のハンセン指数で最もパフォーマンスの悪い銘柄となった。これにより、時価総額は2018年の史上最高値約500億ドル(約7兆1200億円)から35億ドル(約4985億円)にまで減少した。
同社の債券もまた、当初の期限までに利払いが行われなかったため、今週債券が下落し、次の債務不履行に陥る懸念が高まっている。
碧桂園は10日夜、前年の2.63億ドルの利益に対し、2023年上半期の純損失が6.21~7.6億ドル(450億元から550億元)になる見通を明らかにした。この発表はムーディーズ・インベスターズ・サービスは格付けを引き下げた。
碧桂園はかつて、小都市や地方における大規模なプロジェクトや、更にはマレーシアに森林都市を建設するという野心的な計画で知られていた。
しかし、投機や債務リスクの抑制を目的とした北京当局の不動産業界引き締め策によって大きな打撃を受ける一方で、碧桂園は恒大集団や融創中国など他のデベロッパーとの競争にも直面している。
碧桂園の株価急落は、多くの中国デベロッパーが現在の市場環境で直面している課題や不確実性を反映しているが、11日の相場暴落はより広範な影響を及ぼしている。
ペニー株(一株あたりの価格が非常に低い株式)には大きなリスクが伴うが、平均以上の収益を得る可能性もある。
しかし、固有のリスクがあるため、フルサービスの証券会社でペニー株を顧客に販売しているところはほとんどない。ペニー株の多くは、廃業寸前の企業、小規模または新規の企業で全く支持されていない企業、負債を抱えた企業の株式である。
ブルームバーグによると、HSBCホールディングスやCLSA証券など少なくとも3社の証券会社が碧桂園株式格付を引き下げたという。
低位株への転落は、碧桂園が債権者、顧客、投資家の信頼と信用を失ったことを示唆しており、彼らは今後碧桂園に融資したり、購入したり、協力したりすることを躊躇する可能性がある。
債務危機
この問題は碧桂園の倒産にもつながりかねず、従業員、サプライヤー、請負業者、顧客の生計や、同社が事業を展開する地元市場や地域社会の安定に影響を与える可能性があることを示唆している。
恒大集団など、同様の事業戦略や財政難を抱える他のデベロッパーにも影響を及ぼし、融資のボトルネックや不動産価格の下落がさらに深刻になる可能性がある。
中共は2年前から、投機や債務懸念、不動産バブルを抑えるために不動産規制を強化してきた。
北京当局はまた、デベロッパーのレバレッジを規制する「3つの赤い線」と呼ぶ債務規制政策や、内需を拡大し外部市場への依存を減らすことに重点を置く「二重循環」戦略など、多くの政策を実施してきた。
これらの規制は、多くのデベロッパー、特に負債水準が高く資金繰りの苦しいデベロッパーに大きな圧力をかけている。
しかし、中共の不動産業セクターへの介入は常に選択性がある。例えば、チャイナ・フォーチュン・ランド・デベロップメント(華夏幸福)や中国恒大などの一部の国有開発業者を救済している一方で、ファンタジア・ホールディングス・グループや現代土地(中国)有限公司などの一部の民間開発業者にも債務不履行を容認してきた。
ブルームバーグの報道によると、JPモルガンは、「今のところ、カントリー・ガーデンに対する政府のさらなる支援や救済の兆候はまだ見られない」と明らかにした。
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