中国全土に広がる法輪功迫害…「現代のジェノサイド」=英上院議員

2023/08/22 更新: 2023/08/22

英上院議員のデービッド・アルトン卿は、中国共産党による英国の民主主義への干渉を認識するためには、法輪功迫害への理解は欠かせないと述べた。上院議会内で7月17日に開かれた、法輪功迫害をテーマにした会合のなかで明らかにした。

 「中国共産党による民主主義への妨害行為や脅威を認識する上で、法輪功が受けてきた脅威と残虐行為への認識は、決して欠いてはならないものだ。我々は声高に明確に事実を語るべきだ。沈黙する時ではない」と強調した。

90年代に人気を博した気功修煉法・法輪功(法輪大法とも)。中国体育局の推計では約7000万人から1億人が学んでいた。1999年7月、権力低下を恐れ江沢民元総書記が迫害を決定。弾圧は今なお続いており、名前が判明した学習者だけでも4973人が死亡している。このほか日常的な監視、不当な投獄、死に至るほどの拷問を受けている。

「公式には中共は無神論者である。程度の差こそあれ、すべての宗教を弾圧している」とアルトン卿。そして江沢民は「法輪功をコントロールできないことを認識していた」と指摘する。「党幹部でさえ、法輪功の学習を始めていた。江元主席は、彼自身の言葉を借りれば、中共のマルクス主義が “途方もないジョーク”になることを恐れていた」

英国情報機関の議会監視機関が最近発表した報告書によると、法輪功は中共とその国家権力の独占に対する脅威とみなされており、中共の海外諜報・干渉活動の主な標的の一つとなっている。

同報告書によると、スパイ活動や干渉活動に関して、中国にとって英国が最優先事項である可能性は低く、「中共の統治に対する脅威と認識されている米国が、最も注目される可能性が高い」とした。

また、中共が英国学術界に広く干渉していると強調している。中共は、資金提供や脅迫、監視などあらゆる手段を講じて学術機関、学者個人、中国人留学生、シンクタンクに影響力を及ぼしていると指摘した。

この報告内容に言及したアルトン卿は、中共による干渉は 「いわゆる五毒(台湾独立、チベット独立、新疆分離主義者、中国民主化運動、法輪功)」に関わる場合は特に深刻と述べた。そして法輪功を根絶しようとする中国全土のキャンペーンは、「現代のジェノサイド」 であるとの考えを示した。

法輪功について更に認識を深めるべき

中共のいう「五毒」の中でも、法輪功は西側諸国から最も認知されていない。

著名な法廷弁護士で裁判官のジェフリー・ナイス卿が議長を務めた、ロンドン開催の模擬裁判「中国民衆法廷」は2019年、法輪功の学習者が臓器移植のために殺害されてきた主な被害者であると明らかにした。

強制臓器狩りについて最初に調査した一人であるデービッド・マタス人権弁護士は、(中共による臓器狩りという)殺人ビジネスについて気づいた最も冷厳な手がかりの一つは、中国の刑務所で 「法輪功の学習者のみ、血液検査と臓器検査を受けていた」 ことだと語った。

ハン・フェイ氏とグレース・ソン氏という2人の証人が、刑務所での血液検査の経験について語った。ソン氏は血液検査やX線スキャン、臓器チェック、皮膚の傷の精査など、詳細な身体検査を強要されたと語っている。

こうした残虐行為は公になって10年以上経つものの、議会の動きは緩やかだった。中国に関する列国議会同盟(IPAC)創設者であるイアン・ダンカン・スミス卿によると、法輪功そのものへの理解不足もあり、この問題は知られないままだったという。「法輪功について知らない多数の人々に、この問題を伝えるのは非常に難しかった」と語った。

このため、法輪功迫害について知る上で「皮肉にもウイグルのジェノサイド問題は大いに役立った」と述べ、より多くの人々が法輪功で何が起きているのかを知る必要があると付け加えた。

中国共産党による臓器狩りの犠牲は、法輪功のほかウイグルのイスラム教徒やその他の少数民族も含まれることが前出の中国民衆法定で指摘されている。

スミス卿は法輪功について、共産党体制の中国では「封じられた信念と歴史観がある」と指摘。法輪功学習者によって設立された中国古典舞踊の最高峰、神韻芸術団と、その公演を中止させようとする中共の妨害について取り上げた。

神韻のウェブサイトによると、神韻はその公演を「共産主義以前の中国の美と善の復活」としている。このため、中共は神韻公演を妨害してきた。例えば、「中国との関係に傷がつく」などと中国大使館が現地議員に書簡を送り鑑賞しないよう求めたり、劇場運営会社に神韻公演のために劇場を貸し出さないよう迫ったりした。このほか、団員を乗せた神韻ツアーのバスのタイヤが切りつけられるなどの被害があった。

スミス卿は、中国文化の破壊は中共にとって「大事」だと分析する。「中共は共産党以前、つまり自分たちが存在しない時代の統治があったという感覚をすべて破壊したいのだ」。このうえで、中国大使館による公演妨害は失敗していると付け加えた。

英国では法改正で「臓器狩り停止」

英国議会で11日、ヒトの組織、臓器などの輸入には適切な同意証明を必要とする「医薬品および医療機器法案(Medicines and MedicalDevices Bill)」改正案が成立した。提案したフィリップ・ハント上院議員は同法により、中国の収容者から強制摘出された臓器が英国の医療界に入るのを防ぐことができるとしている。

会合に出席したハント卿は、大手コーポレーション、英国企業、英国民が臓器収奪に関与すべきではないことを、機会あるごとに示し続ける必要があると主張。「我々の行動が他国へと広がり、国際的なメッセージが送られていくことを願っている」と語った。

また、英国政府の中国に対する曖昧な政策は誤りであり、議会は臓器収奪に反対する強硬な立場を取るべきだと訴えた。法輪功の迫害について「被害者のことを考え、我々には諦めずに行動していく義務がある」と述べた。

英国法輪大法協会の広報担当ビクトリア・ホワイト氏も、「人々が法輪功とは何かをより明確に理解することが重要と考えている」と述べた。

「中共による法輪功の悪評があまりに激しく、現在も続いているため、中国では法輪功が完全に非人間的とされている。非人間的とすることは、ジェノサイド(大量虐殺)につながる。どの国にいても、私たちは大量虐殺を防ぐ義務があります。私たちには、非人間的とされた法輪功の扱いを覆す義務があると信じている」

Lily Zhou
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