元米宗教自由大使サム・ブラウンバック氏の新著発表を機に、中国共産党による信仰弾圧の実態が注目されている。香港活動家や元NBA選手らの証言から、迫害の現場と国際社会への影響が浮かび上がった。
香港の民主活動家・許穎婷氏は、10代の頃から香港防衛の最前線に立ってきた。2025年4月のある日、彼女はメディアが撮影した、両親が香港の警察署を出る映像を何度も繰り返し見ていた。その光景は彼女に大きな衝撃を与えた。
王春彦氏は、かつて遼寧省大連市で化学設備を販売する成功した実業家であったが、その後タイへ逃れ、さらに米国へ渡った。
エネス・カンター・フリーダム(Enes Kanter Freedom)氏はNBAの元スター選手である。彼はこう語る。トルコ問題について発言していた際にはNBAは彼を支持していたが、中国共産党の問題に言及し始めた途端、その支持は消えたという。
アルジャ・リンポチェ(Arjia Rinpoche)氏はチベット仏教において転生霊童と認められた人物である。彼が8歳のとき、所属する寺院に多数の中国共産党関係者が押し入った。
これら4人は、元米宗教自由大使ブラウンバック氏の新著『中国共産党の信仰への戦争』に登場する主要人物である。ブラウンバック氏は「中国共産党は信仰に対して戦争を仕掛けている。これは彼らが決して勝利することのない戦争である」と述べている。


2026年5月12日、ブラウンバック氏はハドソン研究所でのイベントにおいて、この著作は中国という国家そのものではなく、中国共産党を対象としていると強調した。
「私は中国の人々を愛している。妻とともに中国から娘を養子として迎えたこともある」
「私たちは中国を愛している」
「しかし、中国共産党が中国に対して行っていること、そして世界に対して行っていることは受け入れられない」
「私たちはこれらすべてに反対しなければならない」
香港民主活動家に及ぶ家族への圧力

2025年4月のある日、香港の民主活動家・許穎婷氏はワシントンD.C.の自宅で、メディアが撮影した両親が警察署を出る映像を数日にわたり繰り返し見ていた。
「母はマスクを着け、眉を固くしかめていた。父は記者の群れをかき分けながら、手で目を覆っていた」
「まるで罪を犯したかのように扱われていたが、実際には善良で模範的な市民である」
この出来事は、米国が香港当局者に制裁を科してから2日後に起きた。両親は、彼女に圧力をかけるための手段として利用されたのである。
法輪功学習者が語る暴行と強制労働、目的不明の採血

王春彦氏は大連市で化学設備販売業を営んでいたが、長年の不眠に悩み、1998年に法輪功の修煉を始めた。その結果、不眠症は短期間で改善したという。
法輪功は「真・善・忍」を原則とする修行法であり、5種類の功法動作から成り、健康増進に効果があるとされる。1999年、中国共産党が法輪功への迫害を開始すると、王氏は修煉を続けるとともに迫害の実態を伝えたため、遼寧省女子刑務所に収監された。
看守たちは絶えず彼女を侮辱し、嘲笑した。
「今の自分の姿を見てみなさい。かつては裕福で事業も成功していたのに、今は刑務所にいるのだ」
看守の指示のもと、3人の若く屈強な女性受刑者が、約3フィート(約91センチ)の電線をねじって作った太い線で彼女の背中を激しく打ちつけた。背中は血で覆われたという。
収監中、彼女は毎日14時間の強制労働を課された。
2003年、彼女は理由も告げられないまま採血された。数年後になって、それが臓器移植のための血液適合検査であった可能性があると知った。
臓器移植を巡る疑惑と国際的指摘
ブラウンバック氏は著書の第3章で、中国共産党による臓器強制収奪について「反論の余地がない証拠が存在する」と記している。
また、カナダの元アジア太平洋担当国務長官デービッド・キルガー(故人)、人権弁護士デービッド・マタス氏、調査員イーサン・ガットマン氏が2016年に発表した報告書によれば、中国における年間の臓器移植件数は約6万〜10万件に上り、公式発表の約1万件を大きく上回る。これらの臓器の主な供給源は法輪功学習者であると指摘されている。
さらにブラウンバック氏は、中国共産党高官が臓器移植の受益者である可能性にも言及している。例えば元財政部長・金人慶については「68歳で28歳の提供者の心臓移植を受けた」とされ、元文化部副部長・高占祥についても「複数の臓器移植を受け、自身でも冗談めかして語っていた」とされる。
チベット仏教僧侶への大規模拘束

アルジャ・リンポチェ氏は、1958年の体験を振り返った。当時、彼は8歳であった。
彼が所属していた寺院には約4000人の僧侶がいた。ある日、中庭で大規模な集会が開かれた。そこは本来、仏誕や新年などの儀式が行われる場所である。
しかしその日は様子が一変していた。
すべての僧侶が集められ、地面に座らされた。壇上には中国共産党の幹部と武装した兵士が立っていた。
やがて指導者が立ち上がり、僧侶たちを激しく叱責した。続いて「迷信的宗教を打倒せよ」「反革命分子を批判せよ」といったスローガンが叫ばれた。
その後、群衆の中に人々が突入し、拘束が始まった。
最初に連行されたのは住職であった。その日、およそ500〜600人の僧侶が拘束された。
元NBA選手が語る中国共産党の浸透

エネス・カンター・フリーダム氏はNBAで11年間プレーしたが、中国共産党の人権問題を公然と批判した後、リーグから事実上排除された。その結果、約5000万ドル(約75億円)の収入と将来のスポンサー収入を失った。
NBA幹部は彼にこう語ったという。「中国は異なる体制であり、我々はそこで大きな商業的利益を持っている」
米スポーツメディアESPNの2022年の分析によれば、NBAチームオーナーが中国で持つ投資やビジネス関係の総額は100億ドル(約1兆5000億円)を超える。
カンター氏はこう述べた。
「問題はNBAだけではない。ハリウッド、ウォール街、学術界、巨大テック企業、議会、地方政府、農地に至るまで、アメリカの多くの分野が中国共産党の影響を受けている」
また、中国共産党のスパイが米国内に存在すると指摘した。
「現在、カリフォルニア州のある市長が、自身が中国共産党のスパイであることを認めた」
「中国共産党は外部からアメリカに侵入できないことを理解している。だから内部から影響を及ぼしているのだ」
「人権は政治よりも上位にある。中国共産党は自由世界にとって最大の脅威である。我々は全力でアメリカを守り、無実の人々を支援しなければならない」
「沈黙も悪」国際社会への提言

元連邦議員フランク・ウルフ氏は、中国共産党は現代世界における多くの問題、特に人権問題の主要な原因であると指摘した。
「この問題は国家安全保障レベルで対処すべきである」
彼は「フランク・ウルフ国際宗教自由法」の成立を主導し、宗教の自由を侵害する者に対する制裁権限を政府に与えた。
ウルフ氏はこう語った。
「私が密かにチベットに入った際、ほとんどすべての寺院に公安が常駐しているのをこの目で見た」
「香港の94歳のカトリック枢機卿陳日君氏は2022年に逮捕された」
「黎智英氏は現在も収監されている」
「法輪功の人々は極めて厳しい迫害を受けている」
「拷問、強姦、不妊手術、生体臓器収奪の証言が絶えない」
世界は中国共産党と正面から向き合う必要があると強調した。
「悪に対して沈黙すること自体が悪である」
「道徳的勇気は、戦場での勇敢さや偉大な知恵以上に希少である」
「この本が契機となり、中国の問題が真に対処されることを望む」
また、すべての連邦議員と国務省職員が本書を読むべきだと述べた。
信仰の自由を巡る国際的課題
許穎婷氏は、決して退かず、両親の状況についても発信し続けると述べた。
王春彦氏は、自身を迫害した人々を憎んではいないと語った。「法輪大法の修煉者は、逮捕や判決、さらには臓器収奪の危険に直面しても、真実を語り続ける」
カンター氏は次のように述べた。
「この問題は個人やバスケットボールよりも重要である。香港、台湾、ウイグル、法輪功、チベットで起きていることに対し、行動しなければならない」
ブラウンバック氏は最後にこう強調した。
「これは戦争であり、我々はその中にいる」
「彼らの物語は映画化されるべきである。個人だけでなく、その家族や関係者すべてが迫害を受けており、それは今も続いている」
「我々は信仰を持つ人々の側に立ち、中国共産党の思想に対して明確に反対しなければならない」
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