OpenAI報告 中国のAI世論操作疑惑 米関税・データセンター議論に影響か

2026/06/11 更新: 2026/06/11

OpenAIが6月10日に発表した報告書によると、中国共産党(中共)の宣伝活動に関与しているとみられる関係者が、同社のチャットボット「ChatGPT」を利用し、アメリカ国民に対してトランプ大統領の関税政策への反対を呼びかける内容を生成していた。また、データセンターや人工知能(AI)に関するアメリカ国内の議論にも影響を及ぼそうとしていた。

これらの活動は、2025年末から2026年初頭にかけて行われていたとみられるが、影響は限定的だったとしている。

報告書によると、中国語話者のユーザーグループがChatGPTを使い、トランプ政権の貿易政策や技術政策を批判するスローガンや漫画を作成し、ソーシャルメディアのXに投稿していたことを確認した。また、同じグループが中国語のコメントを生成して記事のコメント欄に投稿したほか、イタリア語や日本語のコンテンツも作成していたという。

さらに、中国に関連するとみられる別のユーザーグループについても確認している。このグループは、AIやデータセンターに関するアメリカ国内の議論に関与しようとしていた。これらのアカウントは、中国の民間テクノロジー企業と関係している可能性があり、その企業は中国の省レベルの政府機関にサービスを提供しているという。ただし、企業名は公表していない。

報告書では、これらのアカウントが拡散した漫画について、AI産業を利益優先の存在として描き、その電力消費が一般市民に影響を与える内容が含まれていたと指摘している。また、データセンターが電気料金の上昇につながっているとAIで生成した英語の投稿を用いて訴えるなど、地域住民に反対を呼びかけていたとみられる。こうした動きについて、アメリカのAI分野における競争力に影響を与える意図があったとしている。

これらの投稿の拡散は限定的であったものの、一方で、外国勢力が戦略的産業に影響を及ぼそうとする動きとして注意が必要だと指摘する。また、アメリカではAIやデータセンターをめぐる正当な議論が行われているが、これらのアカウントは一般の利用者を装い、分断を招く内容を投稿することで議論に影響を与えようとしていた。

OpenAIの主任研究員ベン・ニモ氏は、「これは中国からの影響工作であり、議論に関与しようとする試みである」と述べている。

また報告書では、これらの活動がアメリカの政府機関やテクノロジー企業、さらには政策決定に対する不信感を助長し、中国がAI分野で優位性を確保しようとする動きにつながると指摘している。

張婷