高等教育施設に対する中国共産党の浸透工作について、米国の専門家らは改めて警鐘を鳴らした。留学生などをスパイとして利用し先端技術を盗むいっぽう、米国の学生には左派的イデオロギーを教え込み、自国に対する認識を人知れず変えている。
米国の保守系シンクタンク、ハドソン研究所が8月17日に開催したオンライン会議で、専門家らは中国共産党(中共)よる米国の大学生への「洗脳・監視」について警告を発した。次の世代を担う若者が中共の「認知戦」にさらされているとし、立法を含む対策をとるべきだと訴えた。
全米学者協会外交・安全保障研究シニアフェローのイアン・オクスネバド氏は、「全体主義国家では、イデオロギーに関係なく、市民社会と国家の間に本当の分離はない」と述べた。
つまり、中国では共産党が国家のあらゆる側面を支配し、法律よりも上位にあるということだ。市民社会を装ったこれらの団体は、実際には中国共産党に操られている。
中共の戦略には、中国と米国の大学間の連携の構築、領事館とつながりのある中国人学生団体の設立、米国の大学の語学コースで使われる教科書にプロパガンダを組み込むことなどが含まれる。
米国の大学は、良心的で独立性のある中国の大学や学生団体と協力していると考えているのかもしれない。しかし、「事実は、これらの組織は中共の『代理人』である。民間の団体と中共に本当の区別はない」とオクスネバド氏が述べた。
孔子学院から連携まで
オクスネバド氏によれば、孔子学院は、世界中の1600以上の外国の大学や学校の中国語プログラムと連携しており、中国共産党の「認知戦争」の舞台となっているという。
孔子学院は中国共産党から資金を受け取り、教科書の選定や購入費用のほか、中国語や文化、歴史を教えるために中国人が渡米する費用を負担している。
米中経済安全保障調査委員会の2018年の報告書によると、孔子学院は中国共産党の影響力活動を調整する機関であり、中国共産党統一戦線工作部と「長年にわたる正式な関係」を築いている。
「これは知的自由を損なう。多くの場合、米国の大学は中国からの資金を受け取っており、その契約は非常に不透明だ」とオクスネバド氏は指摘した。
さらに、オクスネバド氏は、「教授、学生、政策立案者は現在、孔子学院は『有害』であるとして、孔子学院の設立に反対し、『閉鎖と再編成』を始めている」と指摘する。
今日、中国と米国の大学間の連携は、より専門的な分野や同様の性質を持つ他のプロジェクトなど、さまざまな形で行われている。
研究成果を盗む「スパイの楽園」
「米国の多くの学校は、中国共産党軍(PLA)と軍事的なつながりのある中国の大学と連携関係を結んでいる。これらの学校は、偶然にも、防衛関連のプログラムを持つ米国の大学だ」とオクスネバド氏は言った。
オクスネバド氏は、国防総省が極超音速ミサイル技術に資金を提供しているアルフレッド大学について言及した。
同大学は、中国共産党のために防衛研究を行う中国の大学と継続的な研究提携を結んでおり、ニューヨークのキャンパスには孔子学院が設置されているという。
アルフレッド大学のエンジニアリング・セラミックス・プログラムに携わる研究者の中には、孔子学院と関係がある者もいる。
オクスネバド氏によれば、米国の大学が中国の大学と協力する主な動機は名声だという。「何校かの国際プログラムを見たが、提携先はほとんど中国にある」と述べた。
それは、「他の国は中国と同じような提携を築くことに力を入れていないから」だと指摘した。
(続く)
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