PCR検査データ改ざん企業の人物 学校給食市場参入で不安広がる=中国

2023/09/27 更新: 2023/09/26

張核子(ちょう かくし)という人物の名前は、そのダークなイメージとともに、中国人の誰もが知っている。

張核子氏は、中国で新型コロナウイルス感染症がまだ猛威を振るっていた頃の2022年8月、PCR検査機関の企業「核子華曦実験室」を自身の傘下にもち、そのPCR検査の爆発的な需要によって巨万の富を得たことから「核酸大王」と呼ばれた人物である。

時は、習近平氏肝入りの「ゼロコロナ(清零)政策」が行われて時期であった。そのため当時はまだ、PCR検査で「陽性」と判定された市民を、問答無用で隔離施設へ強制的に送り込んでいた。

ところが、張核子氏が傘下にもつPCR検査機関の企業「核子華曦実験室」が、検査データの改ざんをおこなっていたことが発覚した。その手口を具体的に言うと、検査で陰性であった市民を「陽性」に改ざんすることで、この企業が担当する地域のPCR検査の回数を無限に増加することができ、それによって企業収益を意図的にアップさせることができるのだ。

しかし、その悪事は発覚し、PCR検査機関の企業「核子華曦実験室」はペナルティの罰金を科せられた。しかし、当局の捜査と責任追及がどこまで厳格に行われたかは、はっきりしない。

もともと「核子華曦実験室」という企業は、その設立からして「当局の認可に要する時間が異常に短かった」など、怪しげな企業だと言われていた。

そのような「前科」をもつ実業家の張核子氏が、今度は「調理済み食品の市場へ参入する」と中国メディアによって報じられ、新たな波紋を広げている。

この「調理済み食品」とは、すでに加工されている食品や食材のことである。ところが、中国で製造される加工食品は、衛生面の不安に加えて、有害な添加物が非常に多く、その安全性が全く信用できないということは中国人の間でも「常識」となっている。

さらに問題なのは、張核子氏が手掛ける「調理済み食品」が、学校給食の食材に使われる可能性があることだ。

中国では近頃、不健康で添加物も多い「調理済み食品」の学校導入問題をめぐり、保護者による抗議が続いている。そのようななか、張核子氏の食品市場参入をめぐり「あのPCR検査で、さんざん人を騙した『前科』がある人物に、子供が口にする食品の安全性が保証できるのか?」と、保護者からの懸念の声が一層高まっている。

NTD新唐人テレビの取材に応じた、学校に通う子供をもつ山東省の母親は「自分の子に、調理済み食品を食べさせることに賛成する親はいません」「PCR検査の結果を偽造する人物(張核子)が、子供たちが口にする食品の業界に参入するなんて、とんでもない」と、その不安を訴えた。

つまり「張核子」という人は、そのように見られている人物なのだ。

前段に一部重複するが、中国では2022年末、甘粛省蘭州市のPCR検査機関「核子華曦実験室」が検査データを改ざんして、陰性の判定を「陽性」と伝えていたことがわかり、話題が沸騰していた。問題となった検査機関の親会社の実質的な経営者が、この張核子氏である。同氏は、配下に医療検査会社を60社以上抱えている。

データ改ざんで問題となった検査機関も含め、張氏傘下の各企業は、たとえ設立直後であってもすぐに政府の認可を取得し、多くの地方で「大儲けできる」PCR検査を一手に引き受けるようになった。そのようなことからしても、張氏の背景が「普通ではない」ことを物語っている。

そんな経営者の企業がつくる「調理済み食品」など、絶対に我が子に食べさせたくないというのが、親の切実な願いである。中国の食品公害で、最も健康被害を受けやすいのは子供たちだからだ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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