米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、これまでの気候変動に関する発言を一部軌道修正し「気候変動に関する誇張がたくさんある」と発言した。
ゲイツ氏は19日に行われた「アースショット賞イノベーション・サミット2023」に出席し「気候変動に関する誇張がたくさんある。気候変動により地球が終わることはない。だから地球は大丈夫だ」と述べた。一方、ゲイツ氏は「誇張」についての具体的な例は挙げなかった。
また数日後に行われたニューヨーク・タイムズ紙のイベントでも、「(気候変動は)人類への影響はあるが、地球への影響はそれほど大きくない」「温帯の国に住めなくなることはない」と楽観的な見解を示した。
「極端に描かれているシナリオにはならない。(温室効果ガスなどの)排出量はピークに達した後、減少に転じるだろう。しかし一度上がった気温は、大規模な炭素除去をしない限り、なかなか下がることはない」
一方、ゲイツ氏は気候変動対策や環境に関する投資は、長期的な視点で取り組むべきだと主張。「ある政党が政権を取ると、気候変動政策が全速力で進み、あるいは冷ややかに止まってしまうようなことがあってはならない。これは鉄鋼工場への30年にわたる投資だ」
ゲイツ氏はこれまで、気候関連の警告を数多く発してきた。2020年には「この(新型コロナ)大流行と同様に、気候変動はもっとひどいものになる可能性がある」と述べ、各国に「気候災害を避ける」ため全力を尽くすよう呼びかけていた。
米国最大の個人農地所有者としても有名なゲイツ氏は、気候変動問題を解決する糸口の1つとして「培養肉」や植物ベースの「代替肉」も提唱している。
「気候危機は存在しない」
各国で気候変動への取り組みが進む一方で、「気候変動危機」に異議を唱える研究者も少なくない。
8月には、日本人を含む1600人以上の科学者が「気候に非常事態は存在しない」と題する世界宣言に署名し、気候変動の問題を政治的な議論やアジェンダの推進に利用していると非難した。
世界気候情報グループ(CLINTEL)が出した世界気候宣言は「気候科学は政治的であるべきではなく、気候政策は科学的であるべきだ」と主張。不十分なモデルに依存した気候政策は「温室効果ガスの影響を誇張しているだけでなく、大気を二酸化炭素で豊かにすることが有益であるという事実を無視している」と付け加えた。
プリンストン大学名誉教授(物理学)のウィリアム・ハッパー氏とマサチューセッツ工科大学名誉教授(大気科学)のリチャード・リンゼン氏は、産業革命以来、過去2世紀にわたりCO2は増加したが、その結果、世界中の人々が利用できる食料が約20パーセント増加し、地球の緑化も進み、気温も穏やかに上昇したと指摘している。
両氏は「大気中のCO2が増加すると植物の成長が促進され、農作物の収量が増加する。さらに、天然ガスの誘導体である合成肥料は、今日の世界の食料生産のほぼ半分に貢献している」と述べ、現在、多くの国で取り組まれている温室効果ガスの排出と除去のバランスが取れた状態を目指す、いわゆるネットゼロ目標は、CO2排出量を年間40ギガトン以上削減させ、それに比例して食料供給が削減するだろうと語っている。
また彼らはEPAの発電所に対する温室効果ガス削減規制について警告を発し、EPAに宛てた書簡の中で次のように述べている。
「コンセンサス、ピアレビュー、政府見解、機能しないモデル、データの取捨選択、膨大な矛盾データの省略に依存した非科学的な分析手法が、これらの研究やEPAの規制案で共通して採用されている」
「どの研究も科学的知識を提供するものではなく、したがってどの研究も本規制案を科学的に支持するものではない」
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