<独占>岩国メガソーラー、日米防衛網を侵す 運営元は中国共産党と関連

2023/10/23 更新: 2023/10/24

清流錦川にかかる錦帯橋が美しい山口県岩国市。同県最東部の旧城下町が、中国企業の大型太陽光発電所(メガソーラー)開発でゆれている。中国企業は共産党の影響下にある。「水が汚れている」「日米防衛網が妨害される」ーー地元や関係者の心配はつもるばかりだ。

大紀元エポックタイムズは最近、石本崇・岩国市議会議員に、中国企業による岩国周辺のメガソーラー建設について独占インタビューを行った。この問題に取り組む石本氏は、国土保全や防衛など各方面の有識者らと共に対応策を練っている。

21年9月、中国の上海電力股份有限公司の100%子会社である上海電力日本株式会社(以下、上海電力)が、東京都港区の再エネ資産ファンドから岩国市美和町のメガソーラーの運営権を取得した。

「何も知らされずに山林が伐採され、建設は始まった」。地元住民は、環境破壊、山体崩れ、土壌汚染、井戸の枯渇などの懸念から、メガソーラー建設に反対している。

山口県議会では、議員が河川への有害物質の流出など県の対応を追及し、不透明感の残る事業者の対応に憂慮を示すなどしている。

事業者に対する県の指導について、県は「防災施設の完工や水質検査の継続実施を確認している」「事業者が県の指導に従っていないとの認識はない」と回答。しかし、地元住民や議員からの疑問や懸念はいぜん残ったままだ。

優秀な共産党員

中国企業である上海電力には、中国共産党組織が設置されている。社内で開催された共産党関連のイベントに社長自らが出席し、中国共産党の指導に従うと音頭を取る写真も確認されている。「これでは中国共産党と一体ではないか」と石本氏は警鐘を鳴らした。

上海電力は23年2月に代表取締役が変わったが、その人物は21年、上海市の経済情報システムに貢献した「優秀な共産党員100名」のひとりとして表彰されている。特別に党利に則った活動を称えられている。

石本氏は何度も上海電力幹部に会うよう求めてきた。22年12月、石本氏は上海電力の日本支社を訪問。しかし面会は拒否された。メガソーラーに関する質問にも一切の回答は得られなかった。

こうしたなか、美和町のメガソーラーは23年6月、稼働を始めた。岩国市は、環境保全に関する協定に基づいた適正な運営を事業者側に求めた。中国新聞によれば、事業者側は「責任を持って運営する」と応じたという。

岩国市周辺の中国資本に関連するポイント(大紀元エポックタイムズ)

東アジア最大の米海兵隊基地

岩国にある米軍基地は極東最大級の海兵隊基地だ。日本を含む東アジアの安全保障のバランスを支えている。この基地を南北に挟むように、美和町と柳井市にメガソーラーが設置されている。

柳井市のメガソーラーの上空は、岩国の米軍基地から離陸する航空機が沖縄へと向かうルートがある。美和町のメガソーラーは、北上する米軍機の飛行コース上に位置し、さらに、米軍の訓練空域もその上空に設定されている。岩国の米軍基地には約120~130機の航空機が配備され、定期的な軍事訓練が行われ、他地域からの航空機も参加することがある。

柳井市のメガソーラーの対岸にある小さな島・笠佐島(山口県岩国市)も、一時期外国人に売却されるとの情報が立っていた。周囲約4キロ、住民はたった3人の小さな島を、中国人投資家が一部購入したという。大紀元エポックタイムズは笠佐島の土地の販売について、売主の不動産業者に問い合わせたが、「(売買に)関係ない」として、回答は得られなかった。

2つのメガソーラーと1つの孤島が、まさに岩国の米空軍基地を南北から挟む形で配置されている。

石本氏は「この岩国基地は、中国共産党の挑戦に対抗するための軍事的前哨地点だ。それゆえ、中国共産党関連の企業が基地の近くで発電所を手に入れたのではないか」と述べた。

さらに、自衛隊の航空基地からわずか1キロメートルしか離れていない、山口県防府市にも、中国系資本のメガソーラーが設置された。この基地には、支援部隊と宇宙作戦部隊が存在する。

石本氏は防衛関係者の話として「米軍岩国基地の戦闘機の直下の飛行ルートに位置し、それにより飛行モードの追跡や妨害が可能になる」との見方を示したという。

現在、日本各地ではメガソーラーや風力発電施設の設置が進められている。その多くが軍事施設や原子力施設、通信塔、中継施設などの近くにあると、石本氏は指摘。「これは偶然の一致と言えるのか?」と問うた。

国土保全の潮流

中国やロシアといった権威主義的国家の脅威が増すなか、欧米諸国では外国投資に対するセキュリティ対策を強化している。日本も同様、厳しい安全保障環境を踏まえ、国内法の整備に取り組んでいる。

22年9月に全面施行された重要土地利用規制法は、基地や発電所など重要施設の周辺約1キロを「注視区域」と定め、調査を踏まえ施設の機能を害する行為があれば、罰則付きの命令を科すことができる。政府は23年9月、規制対象候補地として新たに161カ所の追加指定に踏み切る構えだ。

20年12月、産経新聞が報じた政府関係機関の調査によると、全国で約80件の安全保障上重要な土地の買収が中国系資本によって行われていることが明らかになった。

同年、日本政府は外国為替及び外国貿易法(外為法)を改正し、国家安全保障に関わる特定の分野での外国資本による株式取得をより厳しくした。外国投資家が取得する場合に政府の事前審査の閾値を10%から1%に引き下げたのだ。

法政大学経済学部の秋元大輔博士は米専門誌「ザ・ディプロマット」で、国際的な観点から「公共政策」を理由に政府が財産権を制限する権利を有しており、日本政府が、オーストラリア、韓国、米国など他国と同様に、国家安全保障を理由に土地売買を制限する法律を導入することは違憲ではないと論じた。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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