[ベルリン/フランクフルト/ロンドン 19日 ロイター] – 中国の複数の風力発電機メーカーが今月、ドイツで初めて受注を勝ち取り、欧州市場参入に弾みをつけた。欧州勢は存続の危機を巡る懸念を強めている。
欧州は、太陽光発電を巡り、中国製品の輸入規制措置が限定的だったために多数の域内メーカーが倒産した苦い経験がある。
欧州風力エネルギー協会(EWEA)の統計によると、中国の風力発電機大手3社が欧州の風力発電能力に占める割合は現在、1%未満にとどまる。ただ、受注量は2023年だけで1.2ギガワットに上り、24年は現時点で約0.6ギガワットに達した。独事業会社ルクスカラから今月受注した296メガワット分も含まれ、独政府は精査する方針を示した。
世界風力会議(GWEC)によると、中国の風力発電能力は約82ギガワットと、昨年の国内消費量を上回っており、欧州の発電能力のほぼ4倍に相当する。
欧州の業界関係者は、中国勢が欧州に腰を据える可能性が高いとみる。ドイツ風力エネルギー協会(BWE)幹部は「一度扉を開けたら、二度と閉めることはできない」と話し、(中国の)過剰な生産能力は中国の競合メーカーが欧州市場への参入を模索していることを意味するとの見方を示した。
一方、中国風力発電協会(CWEA)会長は、欧州は気候変動目標達成のために再生可能エネルギー発電を拡大するには、中国から発電機器を買う必要があると述べた。
欧州連合(EU)欧州委員会は、中国政府による不当な補助金支給の有無を巡り、複数の中国企業を調査しており、EU・中国関係は緊張が高まる。 独電力大手EnBWや再生可能エネルギー大手ベイワは、現時点では中国製タービンの使用を避けている。
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